「メンヘラ・マウンティング」 新宿のマンションでホストをメッタ刺しにした女の“生の扱い”|春山有子

事件現場付近(撮影◎編集部)

5月23日、東京都新宿区のマンションで21歳の女が知人男性の腹などを刺し、殺人未遂の疑いで現行犯逮捕されました。女の名前が公になると、本人と男性のSNSや勤務先が明るみになり、女はガールズバーの店長、男性がホストで、どちらも“歌舞伎町の住人”であることが話題となったほか、逮捕時に現場にいた人間が撮ったという写真がネット上に流出。

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マンションのエントランスらしき場所で、血にまみれぐったりと仰向けになる男性の前にしゃがみ、タバコを片手に電話をしながら、警察官にたしなめられている……という生々しい一場面も、話題性に拍車をかけることとなりました。

そのときの電話の相手について、大型掲示板5ちゃんねるではこんな推測がなされています。

セックス中に男のスマホに別の女から電話

眼鏡女、ガチ切れで男を外まで追いかけ回して数回刺す

電話で相手の女性に「あんたのせいで刺しちゃった」

真偽は不明ですが、女の犯行動機が「好きで好きでたまらなかった」であり、さらに自身のSNSには「#メンヘラ」「#メンヘラ女子」といったタグをつけ自撮り画像をポストしていることから、この推測がまことしやかに囁かれるのも頷けます。

「ホストに狂う歌舞伎町の夜職の子は、“死”に近いことをアピールしたがる印象があります。“メンヘラマウンティング”っていうんですかね。より“死”に近い方が偉い、みたいな」

そう話すのは、歌舞伎町のキャバクラ関係者Aさん。仕事柄多くの歌舞伎町キャバ嬢に接するAさんは、なかでも“死”を誇示したがる女性は、「色恋沙汰まっただなかの子が多い」と言います。

「色恋中のホストがこっちを見てくれないから、リストカットして気を引いたり、安定剤を大量服用してアピールしたり、わたしがよく聞くのは、自殺の名所として名高いDビルでの“メンヘラ劇場”です」

たとえば……。

「Dビル屋上のふちに座り込んで、死ぬ気もないのに『今から死ぬ!』と、担当ホストに連絡。その間に消防が駆けつけて下にマットを置くんです。で、しばらくしてホストが到着すると、『おまえ! なにやってんだよ!』と言って後ろからひしっと抱きしめる……って、茶番を何度見聞きしたことか」

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なかには、深刻な事態に発展することもあります。

「彼女は安定剤と酒を一緒に飲んだり、安定剤と睡眠導入剤を同時に大量に飲んだり、さらには洗剤を飲み込んだりと、常に自らに死を突きつけているような子でした。連絡がとれなくなることは頻繁にあり、そのたびに『オーバードーズで倒れていた』と自重気味に話していましたね」

彼女の最期は、唐突に訪れたといいます。

「あるとき、行きつけのホストクラブに行って、『トイレに行く』と言い残したのが最後、Dビルの屋上から飛び降りたんです」

また、今回の事件と「かぶる」とAさんが話すのは、こんな出来事。

「整形せずに読者モデルをやっているような綺麗な子がいました。彼女の彼氏は有名ホストで、彼女は彼の勤務先に行っては応援の意味合いを込めてお金を落としていました。でも、彼は客を相手に枕をしていた。そうした現実に耐えきれなくなったのか、ある日突然、彼の勤務先ビルの屋上から飛び降りてしまったんです。今回の犯人と彼女の違いは、狂気が相手に向かうか、自分に向かうか、だけではないでしょうか」

「とにかくあの辺じゃ、“生”は傍若無人に扱ったほうがかっこいい、という風潮は否めない」と話すAさん。だからでしょうか、犯人の返り血を浴びた犯人の画像が出回っても、

<可愛すぎる>
<エロい>
<官能的で猟奇的だけど日常的な色気のあるいい写真でしたね>
<アニメでいうなら我妻由乃タイプの病みだよな>
<投稿見てると繋がりたいってタグ多いから寂しかったんだろうか(略)こんな子悲しませちゃダメぜたい 絶対一途でいい子じゃん>

と、崇める声が多く上がったり、画像をイラスト化したものがSNSに投稿されたりと、人が滅多刺しにされているのに、どこか深刻さを欠いた人間で溢れているのかもしれません。(文◎春山有子)

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