能町みね子×吉田豪 対談『ヘイトとフェイクニュース』を語る|第二回 「意識高いサロン系の人々について」

台頭してきた『サロン系』について

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第一回の対談では、ヘイト・フェイクニュースの正体を語って頂いた能町みね子さんと吉田豪さん。話は更に続き、ネット上で何となくざわざわする人々。意識高い系のサロン系の人々の台頭について語っていただきました。(本サイト編集長・久田将義)

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勢力を増す「サロン」の人々

吉田:意識高い系的なもの、いまでいうオンラインサロン的な人たちって能町さんは苦手ですよね。

能町:苦手です!

吉田:最近、思ったよりそういう人たちが力を持ってきてる感じしないですか? 昔から高橋歩~サンクチュアリ出版的なものにはボクも警鐘を鳴らしてきたつもりなんですけど、高橋歩自身は失速したのに、その影響下にあるような人たちがどんどん増えているというか。

能町:ありますねー。最近だと、『タモリ倶楽部』に箕輪厚介が出たときちょっとショックでしたよ(笑)。こういう形でも登場しちゃうんだ、と思って。『サンデージャポン』にも出てましたけど、そのときは緊張してたのか、ずっと右手をモシャモシャ動かしてたんですよ。面白かったんで「箕輪厚介がずっと右手モシャモシャしてる」って書いたら、本人がRTしてきて怖かった。あのツイートについては、すみませんでした(笑)。

吉田:最近は箕輪★狂介名義で歌手デビューして、「ぼくりり」の曲とか歌ってるんですよね。

能町:そういえば、「ぼくりり」ってどうなっちゃってるんですか? どんどんカッコ悪くなっていってる気がするんですけど……。

ーー「ぼくりり」って何?

能町:「ぼくのりりっくのぼうよみ」っていう……ラッパーって言っていいのかな。

吉田:ラッパーっていっても久田さんが考えるようなラッパーではないです。

ーー2PACとかじゃないんだ。

吉田:当たり前です!

参考記事:芸人・水道橋博士 VS 幻冬舎の「天才編集者」・箕輪厚介氏のガチンコ・ボクシングを見て|久田将義 | TABLO

能町:高校生くらいの頃から注目されてるミュージシャンで、私は繊細そうな芸術家タイプの人というイメージだったんですけど、最近急に「ぼくのりりっくのぼうよみ」を「辞職する」と言って。そこまではいいんですけど、「たなか」というヤケクソみたいな名前に変えて、YouTuber界隈とつるんだりして、私の目からするとどんどんカッコ悪くなっていってる……。

吉田:プラス、ちょっと意識高い系的な文化にも近付いて行って。

能町:なんか、世代的に、サロン的な「意識の高さ」に惹かれちゃうのかなあ。絡め取られている気がして。

吉田:箕輪厚介が好きな人生の応援ソングをまとめたコンピレーション盤に本人が歌ってる曲も入ってて、それを作ったのがSKY-HIとぼくりりなんですよ。ボクがモヤモヤするのはSKY-HIとぼくりりっていうのは今年のミスiDの審査員でもあって、そのへんのセンスが近いとすると複雑で。

能町:でも、ぼくりりとかSKY-HIは自分で作品も作ってるし、サロン側に行ききる気はないと思うんですよ。いい意味でどっちつかずなところにいる気がする。それで言うと、ダイノジの大谷さんは明らかに「あっち」に行きたいのにぜんぜん行けないからちょっとかわいげがありますよね。

吉田:行きたい電波はすごい出てるんですけどね。キングコング西野さんとかオリエンタルラジオ中田あっちゃんみたいになりたいのがすごい伝わってくるのに、全然なれないところがボクも好きです(笑)。

能町:サロン側の人で言えば、はあちゅうさんなんかもそうですね。囲い込みビジネスの人。サロンというシステムは定期的にお金が入ってくるから、極端な話、何もしなくてもお金は増えますよね。危なっかしいシステムですよ。でも、はあちゅうさんはちゃんといろんなことしてるんですよね。調べてみたらマメにいろんな行事をしてて、そこは素直にすごいと思いました。好きな人にとっては、お金を払う価値のものにはなってるんじゃないですかね。

吉田:ただ、はあちゅうさんがサロンの人たちをタダで使ってるみたいな告発もあって炎上して人が減ったからなのか、イケダハヤトさんの脱社畜サロンと合体する流れは面白かったですけどね。

能町:人をタダで働かせる事件、ありましたねえ。

参考記事:はあちゅうさんの「吉田豪を恨んでます」発言についてキッチリ答えます|吉田豪 | TABLO

サロンビジネスの元祖は岡田斗司夫氏

ーーそれ、一時期、岡田斗司夫がやってましたよね。

吉田:だからサロンビジネスの原点は岡田斗司夫のはずなんですよ。岡田斗司夫自身はそれに失敗したけれど、なぜかいま順調に広まってるっていう。

能町:すごい発明だ。

ーー社員が金を払う会社ありましたね。

吉田:岡田斗司夫がFREEexという組織で提唱した、社員が社長に給料を払っていろんな仕事を学ぶやり方が一般化したのがサロンビジネスなんですよ。いろんな人たちが岡田斗司夫になってるのが現在なんです。

能町:そんなの絶対やだー(笑)! 最近、岡田斗司夫さんはどうしてるんですかね。

吉田:ぜんぜん噂を聞かないですね。岡田斗司夫はあの流れにに入りたかったのに入れなかったんですよ。キングコング西野さんにもアドバイスするポジションになろうとしたけれど、入り込めなかった。一時期オタク時代のファンとか切り捨ててあっちに入ろうとしてたのに。

能町:そういえば私、最近はあちゅうさんにブロックされたんですよ。逆にテンションあがっちゃいました(笑)。ある日突然ブロックされてて、何か悪いこと言ったっけ? と思って自分のツイッターのログを検索してみたら、自分でも意外ですけど、本当に一度も彼女について言及してなかったんです。似顔絵を描いたりはしてましたけど特別ひどく描いたわけでもないし。私自身は匿名の人については気軽にブロックしますけど、ある程度名前を出して活動してる人は基本的にブロックしないんです。それって勇気が要るじゃないですか。

吉田:この先、会う可能性がありますからね。

能町:そう、私に対してあきらかに悪感情を抱いてることが伝わっちゃうから、もし会っちゃったとき気まずいってこともあるし。だから、それをしてくるっていうのはけっこうな勇気ですよ。しかも私ははあちゅうさんの夫のしみけんさんともわりと仲いいのに。今後会ったらどうしたらいいんだろう。

吉田:ボクははあちゅうさんにブロックされた後、ある番組ではあちゅう&しみけん夫妻と同じ番組に出たことがあったんですよ。収録はその2人がボクの直前だったからエレベーター前でバッタリ会っちゃって、しみけんさんは笑顔で会釈してくれたけど、はあちゅうさんからは完全無視されました(笑)。(敬称一部略 聞き手◎久田将義)

※第三回に続きます。

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