目前に迫る戦車の列に、一人立ちはだかり、前進を阻止しようと両手を広げる男性。30年前のあの映像は今でも心に焼き付いている。1989年6月4日の中国で学生や市民の民主化要求運動を武力で弾圧した「天安門事件」。直後のワンシーンだ。中国当局は死者数を「319人」としているが、正確な数字は今も分からない。当時、報じられた写真をまとめた。(構成 共同通信=柴田友明)
【100万人規模のデモ、民主化を求める学生たちのハンスト】
【デモ行進する市民】
【学生のハンスト中止を訴える指導者】
【装甲車の前に横たわる市民】
【天安門広場に建てられた女神】
【炎上する装甲車】
【戦車の前に立ちはだかる男性】
【警備する兵士】
天安門事件 中国で1989年4月に死去した改革派指導者、胡耀邦元共産党総書記の追悼を機に起きた学生や市民の民主化要求運動を当局が武力で弾圧した事件。当局は死者数を319人としているが、正確な数は不明。党内の保守派主導で北京に戒厳令が出され、軍が6月3日夜に制圧を開始、4日未明に中心部の天安門広場に突入し鎮圧した。学生たちに理解を示した趙紫陽党総書記(当時)は事件後失脚。当局は事件を「政治風波(騒ぎ)」と位置付け、弾圧を正当化している。
【30年後、かつての学生指導者は】
事件で弾圧された中国民主化運動の学生リーダーだった王丹氏(50)は5月29日、日本外国特派員協会で会見。天安門事件について「人間としての尊厳を守るためにも語り継いでいく」と決意を述べた。