米75社、カーボンプライシング導入を議会に要求

ナイキやマイクロソフト、ネスレ、ユニリーバなど米75社の経営者は22日、二酸化炭素(CO2)の排出量に価格付けし、費用負担を求めるカーボンプライシング(炭素の価格付け)の導入など気候関連法の制定を議会に求めた。米国では15日にBASFやシェル、フォードなどフォーチュン500選出企業のうち13社のCEO連合「CEO Climate Dialogue」が大統領や議会にカーボンプライシング政策の制定を求める声明を出したばかり。

75社の団体「LEAD (Lawmaker Education & Advocacy Day) on Carbon Pricing」には、eBayやGap、リーバイス、マーズ、ペプシコ、テスラなど様々な業種から、大企業だけでなく中小企業も参加している。全社の市場評価は総額2.5兆ドル(約270兆円)。「CEO Climate Dialogue」に参加する企業も含まれており、今後さらに参加企業が増える可能性もある。新たな気候関連法の制定を求め75社が集結するのは、この10年以上を振り返っても、最大規模の動きと言える。

このほど、75社の代表団はカーボンプライシングを含む重要な気候関連法を成立させるため、超党派の議員らと面会。議員らに、気候変動によって引き起こされる経済的影響、そして包括的・効果的な気候変動対策のための法整備の必要性を伝えた。

ダノンのクリス・アダモ副社長は、「気候変動対策には、早急かつ団結した活動が求められている。信頼できるカーボンプライシング制度を確立することもその中に含まれる」と話す。

「我々はこれまでのビジネス慣習にイノベーションを起こし、食品・飲料業界全体を巻き込む新たなパートナーシップを構築し、貴重な自然資源を保護・保全する政策を支持することで、直面している課題に対応しようとしている。CO2排出量を実質ゼロにし、吸収量を増やしカーボンポジティブにするという2050年目標を達成するまで31年間ある。世界最大のB コーポレーション認証企業として、長期的な変化を推進する解決方法を導き出す責任がダノンにはある」(同副社長)

リーバイ・ストラウスのマイケル・コボリ副社長は、「リーバイ・ストラウスは自社の事業とサプライチェーンに関して掲げている業界トップレベルの目標の達成を目指して、CO2の排出量を削減するために一層の努力をしている。しかし同時に、政府が炭素の価格付けや再生可能エネルギーへの投資のための支援を主導すれば、今以上に多くのことを、より早く、より安く実行できるだろう」と語る。

化学大手DSMや家庭用品ブランド「セブンス・ジェネレーション」など8社はCEOが出席し、気候変動が事業やアメリカ経済に与えるリスクについて深い懸念を示した。

セブンス・ジェネレーションのジョーイ・ベルグステインCEOは、「将来世代にとって最大の脅威は、気候変動危機だ。カーボンプライシングの導入によってもたらされる温室効果ガス削減の短期的、長期的メリットは、そのためにかかるコストをはるかに上回る。手遅れになる前に、今動かなければならない」と語った。

世界で気候変動の影響が科学的根拠に基づき語られるようになり、温暖化の影響が顕著に現れはじめた今、民間企業が連邦議会と連携する動きは増えてきている。実際、過去3年間に、民主党と共和党は連携し、様々なカーボンプライシングに関する法案を上下両院で提案している。

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