桑の実レシピ考案へ 五島海陽高生2人

黒く熟した実を選んで摘み取る生徒=五島市上大津町

 長崎県立五島海陽高の生徒2人が5月28日、五島市の農業生産法人・五島七岳ファームが市内に所有する畑で、桑の実を摘み取る体験をした。同法人は実を使った新商品の開発に取り組んでおり、生徒たちもレシピ考案で協力し、今秋までに試作品の完成を目指す。
 地元企業で職業体験する実習「デュアルシステム」の一環。地域振興系列3年生20人が4月から週1回、市内11事業所で仕事を体験している。同法人では中道喜博さん(17)と中村晃暢さん(17)が、さまざまな野菜の収穫や手入れなどに当たっている。
 同市ではかつて養蚕業が盛んで、最盛期には1300ヘクタールもの桑畑で蚕の餌となる葉を収穫。同法人の大谷豊代表(68)も1970年代から農業指導で携わったが、安価な輸入生糸に押され、市内の養蚕業は90年代には廃れた。
 大谷代表は数年前から市内の畑で桑の葉の栽培を再開し、「桑茶」の生産に取り組んできた。3年前には実の収穫に適した品種も植栽。今年は約10アールの畑で1トン余りの実の収穫を見込んでおり、島内外の企業と連携してワインやドレッシング、菓子などに使えないか検討している。
 28日は生徒2人が、黒く熟した実を一つ一つ丁寧に摘み取った。大谷代表は「高校生らしい新しいレシピを考えてほしい」と期待。中村さんは「甘くて酸味もある。子どもから大人までおいしく食べられるレシピを作りたい」と話した。

摘み取った桑の実を手にする大谷代表=五島市上大津町

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