むかわ町に被災の苦労乗り越え念願のレストラン開店

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 「ホッとひと息つける場所をつくりたかった」。むかわ町の元地域おこし協力隊の鈴木哲さん(62)が穂別地区中心街の穂別17にレストラン「Maple Leaf Cafe(メープル・リーフ・カフェ)」を開店させた。胆振東部地震の影響で、7カ月遅れの船出となったが「やっと自分の場所ができた」(鈴木さん)と来店客との会話を楽しみながら、地元産の食材にこだわった料理を提供している。

 鈴木さんは札幌出身。グラフィックデザインや釣り堀を兼ねたレストラン経営を経て、2014年度(平成26年度)から3年間、穂別地区で地域おこし協力隊の一員として主に修学旅行生の受け入れや民泊など交流人口を増やす活動をしてきた。17年には町営穂別キャンプ場で喫茶店を営業していたが「自分のレストランを持ちたい」と1年で閉じた。

 その後、喫茶店の常連客が宴会場を経営していたことから、料理人として働き、レストランの開業準備を進めてきた。店舗は常連客が経営していた元居酒屋を借りた。「一人のほうが思い通りにできる」と昨年5月から単独でリフォーム作業に取りかかった。出来上がってみれば壁や床、テーブルや扉はすべて穂別産の木材を活用したこだわりの店舗となった。

 昨年秋にオープンを予定していたが、9月6日の胆振東部地震で被災した。開店を間近にしてコーヒーカップや食器に加え、自慢のコーヒーミルが壊れてしまった。「本当にすごい地震だったが、頑張らなければ」と思い、まずは世話になっている常連客の宴会場の後片付けや復旧作業に当たった。

 近所の人たちが停電で調理に困っていたので「カレーを作って配った」と4日間の炊き出しも行った。今年1月から、本格的にレストランの開店準備を再開。内装工事や備品をそろえ、念願だったレストランを4月16日にオープンさせた。

 開店から1カ月が経過し来店客も増え始めた。カウンター3席、テーブル6席のこぢんまりとした店内には店の雰囲気に合った洋楽が流れる。鈴木さんと会話を楽しんだり、ゆっくり読書をしたり。それぞれが思い思いの時間の流れの中で過ごすぜいたくが来店客を引きつけている。

 念願のレストランを開店させた鈴木さんは「自宅をオーベルジュにしたいね」と次の目標を口にする。自宅裏には鵡川が流れており、「釣りができるんだ」と少年のように瞳を輝かせる。

 提供しているメニューは地元産アスパラガスのパスタや平取産黒豚を使ったイタリアン。日替わりケーキやタンザニア産などの豆を使ったコーヒーなどが味わえる。食事は2日前までの予約が必要。営業時間は午前11時~午後11時。詳細は鈴木さん、携帯電話090・3394・0633へ。(佐藤重伸)

【写真=穂別地区にレストランを開店させた鈴木さん(上)、レストラン「Maple Leaf Cafe」の入り口には花々が飾られている(下)】