【連載】ベストシーズンを迎える海外の旅先 <6月編 ポーランド>

おとぎの世界が広がる草原の国

「ポーランド」は、「平原の国」という意味。その名の通り、ポーランドは、肥沃な大地に森や湖といった手つかずの自然が残る美しい国です。

10世紀には、ポーランド王国の基礎が成立。現在のポーランドはあまり目立たない存在ですが、16~17世紀には、ポーランド=リトアニア連合として、ヨーロッパ最大の領土を誇っていました。

その後は他国に分割されたり占領されたりと、苦難の歴史をたどりましたが、今もポーランド各地には、中世~バロック期の輝かしい時代を物語る、美しい街並みが残されています。

レンガ造りやパステルカラーの建物が並ぶ風景は、まさにおとぎの国。一度足を踏み入れれば、すっかり魅了されてしまうことでしょう。

首都ワルシャワ

ポーランドの首都が、中東部に位置するワルシャワ。ポーランドの玄関口で、ショパンが育った音楽の都としても知られています。

ワルシャワは、近代的な高層ビル群と中世の面影を残す旧市街という、まったく異なる二面性をもつ都市。カラフルな街並みが広がる旧市街は、「ワルシャワ歴史地区」として世界遺産に登録されています。

実は、ワルシャワの旧市街は戦後再建されたもの。第2次世界大戦で、ワルシャワの街はナチス・ドイツの手で徹底的に破壊されましたが、「ひびの一本にいたるまで」といわれるほど、元の姿に忠実に再建されたのです。

以前の旧市街が破壊されてしまったのは残念ですが、美しく復元された旧市街を見ていると、街を愛する人々の魂が込められているように思え、胸が熱くなります。

音楽好きなら、ショパンの心臓が納められている聖十字架教会やショパン博物館なども必見。旧市街の王宮広場から延びるクラクフ郊外通りには、ショパンの音楽が流れるベンチも設置されています。ショパン関連の見どころを巡りながら、ゆったりと散策を楽しみましょう。

ショパン関連の見どころについては、『【ポーランド】ショパンにまつわるスポット5選』をどうぞ。

古都クラクフ

ポーランド南部のクラクフは、「ポーランドの京都」とも称される重厚な古都。ポーランドの都市の多くが第2次世界大戦で壊滅的な被害を受けた中、クラクフは戦災を免れたため、本物の中世の街並みがそのまま残っているのです。もちろん、古い街並みは「クラクフ歴史地区」として、丸ごと世界遺産に登録されています。

旧市街の中心に位置する中央広場は、織物会館や「ポーランドで最も美しい教会」との呼び声高い聖マリア教会が。聖マリア教会の塔から吹き鳴らされるラッパの音色は、クラクフならではの情緒あふれる古都の音色です。

クラクフ最大の見どころが、歴代ポーランド王の居城だったヴァヴェル城。荘厳なヴァヴェル大聖堂や旧王宮など、複数の建物からなる巨大建築物は、ポーランド王国の栄華を今に伝えています。

世界遺産ヴィエリチカ岩塩坑

かつてユダヤ人地区だったカジミエシュ地区や、世界遺産のヴィエリチカ岩塩坑、アウシュビッツ博物館など、クラクフは郊外や近郊にも見どころが豊富。ヴィエリチカ岩塩坑へは鉄道で簡単に行けるほか、アウシュビッツ博物館へはクラクフからの日帰りツアーがたくさん出ているので、クラクフには2~3泊滞在して、周辺にも足を延ばしてみるといいでしょう。

『情緒薫る世界遺産の古都、ポーランドのクラクフでしたい7つのこと』『【ポーランドの京都】クラクフ、アウシュビッツ、ヴィエリチカ岩塩坑、3つの世界遺産をめぐる旅』も要チェックですよ。

小人の街ヴロツワフ

ポーランド南西部、シロンスク地方の中心都市として栄えてきたのが、ヴロツワフ。ポーランドを代表する中世市場のひとつに数えられる旧市場広場には、絵本から飛び出してきたかのようなメルヘンチックな光景が広がります。

美しい建物が並ぶ中でも、とりわけ目を引くのが複雑なシルエットをもつ市庁舎。見る角度によってまったく印象が異なり、その美しさと可愛らしさに引き込まれます。

そして、近年ヴロツワフ人気を高めているのが、個性的な小人たちの存在。2001年に最初の小人像が設置された後、その数は増え続け、今ではなんと380体以上に。消防士の格好をした小人やベッドで眠りこけている小人など、一体一体異なる姿のキュートな小人たちに夢中になってしまいますよ。

フォトジェニックなポズナン

旅人たちのあいだで「ポーランドで最もフォトジェニック」とささやかれているのが、北西部に位置するポズナン。ポーランド王国建国の地であり、古くから東西交易の拠点として栄えてきました。

中央広場にはエレガントなルネッサンス様式の旧市庁舎をはじめ、華やかな建築物の数々が建ち並びます。

パステルカラーのカラフルな旧市街が多いポーランドの中でも、ポズナンの旧市街に残る建物の数々は独特。可愛らしい模様が施された細長い家々は、メルヘンの世界さながらで、シャッターが止まらなくなってしまいそうです。

華麗なる港町グダンスク

「ポーランドで最も夏が似合う街」といっても過言ではないのが、ポーランド北部、バルト海に面した港町グダンスク。14世紀には、北部ヨーロッパの経済圏を支配したハンザ同盟の一員として隆盛を極めました。

ゴシックやルネッサンス、バロックといった各時代の様式の建造物が並ぶ旧市街は、「華麗」という形容がぴったりの美しさ。旧港では、木造のクレーンやクルーズ船が、歴史ある港町の風景を造り上げています。

グダンスク周辺は、世界有数の琥珀の産地としても有名。囚人塔の内部は、琥珀博物館として使われているほか、「琥珀通り」とも呼ばれるマリアツカ通りには、琥珀製品を売るお店がぎっしり。「琥珀=年配向け」という印象がありますが、グダンスクならモダンな琥珀アクセサリーも手に入ります。

ポーランドのベストシーズン

一般的な観光旅行なら、ポーランドのベストシーズンは6月~9月上旬ごろ。夏のポーランドは日が長く、夜21~22時ごろまで街歩きを楽しむことができます。

冬の寒さが厳しいポーランドでも、真夏ともなれば気温が30℃を超えることもありますが、日本と比べるとからっとしているので、過ごしやすく感じるでしょう。そのかわり、日差しは強いので、日焼け止めやサングラスなど、紫外線対策はしっかりと。暑すぎず、青空が写真に映える夏は、ポーランド各地の周遊旅行にぴったりです。

歴史ある街並みと自然が調和した、美しい風景の数々に心癒されるポーランド。中欧のおとぎの国へ、お気に入りの一枚を探しに出かけませんか。

[All Photos by shutterstock.com]

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