高輪ガードの夕景、高輪ゲートウェイ開業で揺れる道(追記再掲2017/07掲載)

7月18日、嬬恋村での仕事からの帰り道。新橋での要件を済ませ、芝浦ランプから首都高1号羽田線で再び帰ろうとしたとき。

ウチのポンコツ車の向きをぐるっと変えるために、Googleマップが示した経路が、高輪ガード(高輪橋架道橋)を経る道だった。

高輪ガードと聞いて「ああ、あそこか」と思う人は、電車好きか、タクシー運転手か、地元の人か……。

高輪ガードは、国道15号(第一京浜)の高輪大木戸跡交差点付近から、海側の旧海岸通へとつながる一方通行路。

高さ制限は1.5m。背の高い人は、前かがみに歩かなければならないほど低い道。

ガードの上は、山手線・京浜東北線・東海道線・新幹線をはじめ、そのまんなかにあった田町車両センターの車両基地跡もある。

1.5mという高さは、ちょうどタクシーのルーフ上のランプ、いわゆる行灯が、ぶつかるかぶつからないかというギリギリのライン。

天井部分を見ると、その行灯が接触したとみられる傷が複数走ってる。こわっ。

この高輪ガードで行灯を壊さないようにと、東京の大手タクシー会社の一部は、行灯の頭部をカットしたタイプを載せるクルマを走らせてるぐらい。

嬬恋村の仕事場を往復し、500kmほど走ったこの日、前を走る大宮ナンバーのタクシーが高輪ガードの手前で停まってた。

後続の品川ナンバーのタクシーがプップーとクラクションを鳴らすと、大宮ナンバーの運転手が降りてきてこう聞く。

「これだいじょうぶ? 当たらない?」

「当たらないよ。だいじょうぶだから!」と伝え、客を乗せてる品川ナンバーの運転手は「行ける。行ける」と合図……。

実はこの高輪ガード、品川エリアの大規模再開発とともに姿を消す。

「ガード下1.5m 路面段差あり 徐行せよ」「降雨時の冠水に注意せよ」といった看板と、頭上を行く列車の足音を聞きながら、不思議な感じで歩けた200mは、品川新駅などの登場にあわせて消滅―――。

嬬恋村で信号のないのどかな道をひたすら走り、その3時間後に都心で 高輪ガードあるある に遭遇。

変わらない風景、変わる街。慣れないタクシードライバーと、先を急ぐ地元運転手がやりとりするこんな光景も、あとわずか。

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