島原9年ぶりV奪回 3年生の思い胸に躍動 男子団体ソフトテニス

【ソフトテニス男子団体決勝、島原―精道三川台】9年ぶりの優勝を決めた瞬間、喜びを爆発させる島原の選手たち=長崎市総合運動公園かきどまり庭球場

 相手の動きを見極めた上での「一択だった」。ソフトテニス男子団体決勝のマッチポイント。島原の前田泰は右に跳び、鮮やかなボレーを決めた。瞬間、ベンチ、スタンドの喜びは爆発。伝統校が1954年の初Vから数えて8度目の栄冠を手にした。OBでもある森崎監督は「本当によく頑張ってくれた」と感謝の言葉を口にした。
 この日の出場3ペア6人中、3年生は浦田1人。ほとんどが最後の県高総体のコートに立てずにサポートに回った。そんな先輩たちへの思いは原動力になった。上級生の思いを背負った後輩たちは、最後まで諦めずに戦った。
 精道三川台との決勝は田浦・前田太組が先勝した。1敗を挟み、最後は小田・前田泰組が「思いを受け取りたかった」とベンチで控える主将の高田、副主将の島田と固く握手して“出陣”。チームの9年ぶりの優勝を決めてきた。
 決勝こそ黒星を喫したが、2番手の藤田と浦田のペアの活躍も大きかった。約3カ月前にペアを組んだ2人は、直前まで「動きが合わなくてイライラした」(浦田)、「意思疎通ができずに怖かった」(藤田)。それでも、大会を通じて理解を深め、準決勝では優勝候補の西陵を倒して勢いに乗ってきた長崎南山ペアに競り勝った。
 表彰式後、高田がかみしめるように言った。「正直、出て貢献したかった。でも今は、頼りないキャプテンについてきてくれてありがとうと思う」。ベンチ外も含めた記念撮影。上級生、下級生の区別なく、最高の笑顔が並んだ。

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