ベッテル、ルクレールとの競り合いを肯定的に捉える。「フェラーリF1にとって良いこと」

 2019年シーズン、フェラーリでの1年目を過ごすシャルル・ルクレールが成功を収めていることは、チームにとって全体的にポジティブなことであるとセバスチャン・ベッテルは述べている。

 ベッテルは21歳のルクレールから多大なプレッシャーを受けており、このことが、開幕後の6戦で彼らしからぬミスを繰り返したことの原因であると評論家たちは推測していた。

「ベッテルはリラックスする必要がある。くつろげる雰囲気のなかで過ごすべきだ」と、元フェラーリドライバーのゲルハルト・ベルガーは、『La Gazzetta dello Sport』に語っている。

「(ルクレールの存在によって)彼は苦しめられており、110パーセントの力を出せずにいる。(ダニエル・)リカルドといた当時と同じことが起きているのだ。その後、彼はレッドブルを離れた」

 チームを支配して自分中心に作り上げ、他者を排除する“超自我”のようなものをミハエル・シューマッハーやルイス・ハミルトンは持っているが、ベッテルにはそれがないのだとベルガーは話す。

「(ルイスは)7度目のタイトルを獲得し、メルセデスを離れる前のシューマッハーと肩を並べたがっている。私に最もアイルトン・セナを彷彿とさせるドライバーが彼だ」

「セブ(ベッテル)はシューマッハーのようなハードワーカーだが、ミハエルと比べると、鍵となる人物を雇わせるような、チームを指揮する能力に欠けている」

 しかしながらベッテルは、こうした批判に対し、フェラーリでの才能あるふたりのドライバー間で競争があることは、チームだけでなく彼個人にとってもアドバンテージになると答えている。

「良いことだと思うよ。僕らは互いに競り合っている」とベッテルは語った。

「チームにとって、ふたりのドライバーがマシンを限界までプッシュし、限界を見極めるという状況は良いものだと思う。まずどのようなマシンであるか、そしてどのように修復していけるかを確認していける」

 以前にも才能あるチームメイトがいたにもかかわらず、なぜ今季に限ってこれまで以上のプレッシャーを感じなければならないのかが分からないとベッテルは話す。

「公平な立場で敬意を払って言えば、過去に楽なチームメイトなんていなかったと思う」と以前ダニエル・リカルドやキミ・ライコネンと組んだ経験を持つベッテルは語った。

「キミが遅いなんて思ったことはないよ! 確かにふたりは違う。まず違う人間だし、違うドライバーで、異なるスタイルを持つ」と、ベッテルはルクレールとライコネンを比較して述べた。

「シャルルに大きな才能があって、非常に速いドライバーであるということは、正しいかたちで明らかになっていったんだ」

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