新幹線長崎ルート 課題整理の協議入れず 長崎、佐賀 副知事会談、平行線

平田副知事(左)に佐賀県の立場を説明する坂本副知事=佐賀県庁

 九州新幹線長崎ルートで未着工の武雄温泉-新鳥栖(佐賀県)の整備方式を巡り、長崎県の平田研副知事は3日、佐賀県の坂本洋介副知事を訪ね、フル規格での整備に向けた協議を打診した。しかし、坂本副知事は同区間は在来線を活用することで合意してきたとし「短期間で決めるのは難しい」と改めて佐賀県の立場を主張。議論は平行線で課題整理の協議に入ることができず、両県の隔たりが鮮明となった。

 坂本氏はこの日、副知事に就任したばかり。両副知事の協議は、5月14日の両知事の会談で合意して実現した。

 平田副知事は、フリーゲージトレイン(軌間可変電車、FGT)の導入断念で前提条件が崩れたとして、新幹線と在来線特急を乗り換えるリレー方式の長期化を懸念。「このままでは武雄温泉、嬉野温泉駅が全国の新幹線ネットワークにつながらない。佐賀県民が期待する開業効果が想定とは異なる発現になる」と危惧。北陸新幹線の財源確保議論に乗り遅れず、政府予算の概算要求に環境影響評価(アセスメント)経費が盛り込まれるよう「建設的で前向きな議論が必要」と訴えた。

 これに対し、坂本副知事はスーパー特急方式に決まって2008年の着工まで15年以上、県を二分するような議論があり、歴代知事が「フル規格で整備することはない」と議会や県民に説明してきたと強調。「数カ月で議論するのは非常に難しい。佐賀県としては白紙の区間」と理解を求め、「門戸を閉ざすつもりはない。さまざまな情報交換はしたい」とした。また同区間は佐賀県にあり、長崎県と議論して決める問題ではない、との見解も示した。

 長崎側は6月中の再協議を要望。佐賀側は「白紙ということは理解いただきたい」と述べるにとどめた。

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