昨季優勝の交流戦で巻き返しへ 16連敗のヤクルトで青木が若手にかけ続けた言葉

ヤクルト・青木宣親【写真:荒川祐史】

5月はNPB100本塁打を記録した青木、4日から昨季優勝の交流戦へ

 5月のヤクルトは、好調だった4月に比べ、けが人も多く、大型連敗に泣いた1か月となった。一時は首位にいたチームだったが、5月14日から大型の16連敗。順位も一気に最下位に転落した。

 この1か月はいろいろなことがあった。大型連敗から目をそらしていけないが、ポジティブな要素だってあった。

 けがで離脱してしまった石山の代わりに、梅野がリリーフに抜擢され結果を残した。現在4セーブ。野手も、山崎や古賀ら若手も抜擢された。ケガ人も少しずつ復帰。3月31日に死球を受け登録抹消されていた坂口、そしてバレンティンも戻った。

 そんな中でも、37歳でも気を吐く青木の存在感は大きかった。5月17日にはNPB通算100号本塁打を記録、22日にはNPB通算1500安打を達成した。プロ126人目1156試合目での1500安打到達は、2011年の松井稼頭夫(楽天・現西武2軍監督)の1233試合を抜いて史上最速だった。

 青木の活躍は記録だけではない。その技術、リーダーシップなどがチームに様々な良い影響を及ぼしている。

「今、1位である必要はない。最終的に1位になることが大切」

 コミュニケーションに関しては、試合中も、ベンチで後輩に声をかけたり、大きな声を出してチームを鼓舞したり、グラウンド上でも選手に声をかけに行く姿などをよく見かける。

 青木は「コミュニケーションが大切なことをすごくわかっているから、積極的に声をかけるようにしています。例えば、失敗しても、次、切り替え! とにかく引きずらないようにしないといけない。一度やったことは戻ってくるわけではないですからね。それよりも次のプレーを考えた方がいい。だからそういう声がけを意識しています」と話す。

 メジャーリーグで青木が得た考え方の一つだ。

 負けても立ち上がる姿はファンの心を打った。青木から始まった、山田、バレンティンの3者連続本塁打。最近では頭を短く刈り込んで、自分から空気を変えようとした。負けが続く中、青木は若手選手たちに「今、1位である必要はない。最終的に1位になることが大切。連敗はもちろんしたくないけど、がっかりする必要はない。なかなか勝てなくて、良いイメージが持てない日が続くけど、毎日が新しい日なんだ」と言い続けていた。先輩から後輩へ様々なものが受け継がれたはずだ。

 ヤクルトは借金10で昨年優勝した交流戦を迎える。昨年も借金「9」でスタートし、交流戦で12勝6敗の好成績で初優勝。シーズン2位の大きなきっかけとなった。巻き返しへ、選手もファンも落ち込んでいる暇はない。今年もその再現を期待したい。選手たちも切り替えて、もう前を向いている。(新保友映 / Tomoe Shimbo)

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