シーサイドラインが有人運転で再開 原因いまだ不明

運転員による手動運転で新杉田駅に到着した列車。通院などで利用する乗客が乗り込んだ=4日午前11時15分ごろ

 横浜市の新交通システム「金沢シーサイドライン」の車両が新杉田駅(同市磯子区)で逆走し、14人が負傷した事故で、運行会社は4日午前11時から、有人での手動運転により全線で運行を再開した。事故が起きた1日夜以降、3日ぶり。当面は10分間隔で運行する。

 運行会社の第三セクター「横浜シーサイドライン」(同市金沢区)によると、従来の65%程度の本数にとどまる。そのため、5日は朝のラッシュ時間帯に代行輸送バスを並行して走らせる。同日夕以降は状況を見て判断する。事故原因は依然分かっておらず、無人の自動運転の再開見込みは立っていない。

 同社は3日深夜から翌4日朝にかけ、新杉田-金沢八景間で、事故車両以外の15編成を手動で試験運転し、ブレーキや信号受信、自動列車制御装置(ATC)などの機能を確認した。

 その結果を踏まえ、国土交通省と協議し、運行の安全性を確保できると判断、4日午前から6~8編成での運行再開を決めた。同社には免許を持つ運転員が67人在籍しているが、そのうち30人が1編成に1人ずつ乗り込む。

 同日午前、本社で緊急会見を開いた三上章彦社長は「安全に不安を持っている利用者も多い。安全確保に最大限、留意しながら運行したい」と強調。事故原因については「今も確定できておらず、解明にはそれなりの時間が必要」と説明した。

 一方、駅の制御システムが出発の合図を出した直後に列車が逆走しており、同社の担当者は、車両側の制御や電気系統のシステムに何らかの不具合があった可能性が高いとの認識を示した。

 事故は、1日午後8時15分ごろに発生。新杉田発並木中央行きの5両編成が逆走し、約25メートル後方の車止めに衝突して停車した。20~80代の14人がけがをし、うち6人が重傷を負った。

 事故後、同社などがバスによる代行輸送を行い、通勤客や通院客らの長い列ができていた。

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