対馬のカワウソ 4匹生息か 新たな雌のふん発見

対馬南部の海岸で発見された雌のユーラシアカワウソのふん(環境省提供)

 環境省は4日、長崎県対馬市で昨年度に実施したカワウソの生息調査の結果、これまでに把握した3匹のほかに、新たに雌1匹が生息しているとみられると発表した。対馬島内に計4匹が生息している可能性があるという。

 調査は昨年12月上旬に1週間実施。研究者らが対馬の海岸線や河川など延べ約110キロを調べた。南部の厳原町久和地区の海岸で、魚の残骸を含んだふん1個が見つかり、DNA解析の結果、2017年度の調査で把握した雌とは別の個体と分かった。

 2017年度調査で、北部の上県町佐護地区などで生息を把握した3匹(雄2匹、雌1匹)については、今回の調査では痕跡を確認できなかった。佐護地区と久和地区は直線距離で約60キロ離れている。

 調査に参加した筑紫女学園大の佐々木浩教授(動物生態学)らの分析によると、4匹はいずれも韓国やロシアに分布しているユーラシアカワウソ。対馬から約50キロの韓国南東部に生息しているカワウソとDNAの型が一致した。佐々木教授は「いずれも漂着物に乗るなどして韓国から流れてきた可能性がある」と指摘している。

 環境省対馬野生生物保護センターは今後も生息調査を続ける方針。「生息地に影響を与えかねないので、むやみに立ち入らないでほしい」と呼び掛けている。

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