カネミ油症51年 次世代救済へ症状調査を 被害者面会 坂口元厚労相が助言

坂口元厚労相(右)に次世代被害者の救済を訴える下田順子さん(左)ら=東京都千代田区、弁護士会館

 カネミ油症被害者らが4日、油症問題に詳しい坂口力元厚生労働相と東京都内で面会し、2012年に成立した被害者救済法の見直しなどについて意見を交わした。坂口氏は救済策がない次世代被害者について「子や孫にどんな症状が出ているかをまとめ、国会議員が動く原点を提供してほしい」と助言。被害者側は今後、カネミ油症被害者支援センター(YSC、東京)と連携し、次世代の症状や疾病などに関する調査に取り組む方針だ。

 坂口氏は厚労相時代、油症の主因はダイオキシン類と初めて認め、04年の診断基準改定につなげた人物。ダイオキシン類は汚染油を摂取した母の胎盤や母乳から子に移行するとも指摘されるが、子ども自身のダイオキシン類の血中濃度は比較的低いため、厳しい基準が認定の壁となっている。また救済法では、発生当時認定患者と同居していた家族も患者とみなす新制度「同居家族認定」ができたが、当時の胎児は救済対象から除外されるなど課題が多い。

 坂口氏は「まとまるか分からない問題をまとめるのは政治しかない。(次世代被害者の症状のデータを)取っ掛かりにして各党の皆さんに寄ってもらい、この法律(救済法)の修正案を作ってもらう」との考えを示した。時期は「次の臨時国会などで皆さんに話題にしてもらう」とした。

 諫早市の認定患者、下田順子さん(57)は「子どもにも私と同じような症状がある。他の2世や3世の症状も合わせれば油症との関連が見えてくるはず。新しい次世代救済につながれば」と期待を寄せた。

 面会は、五島市で昨秋あった油症発覚50年の式典で坂口氏が症状による認定など救済策を提案したことから、被害者側が希望。同市の岩村定子さん(69)ら被害者6人、YSCが出席。公明党の江田康幸衆院議員も同席した。

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