路線バス定時運行へ 川崎市、バスベイや交差点改良

バスベイが設置される「向丘出張所」バス停 =川崎市宮前区

 川崎市は本年度、市内の都市計画道路3線で、路線バスの走行環境の改善を進める。いずれも交通渋滞の解消が課題の道路で、停留所へのバスベイ(歩道の切り込み)の設置と交差点改良を実施。公共車両優先システム(PTPS)の導入も視野に、混雑緩和と定時運行を実現させ、バス利用者とドライバー双方の利便性向上につなげる。

 市がモデル路線に位置付けて改善に乗り出すのは、「野川柿生線」「丸子中山茅ケ崎線(中原街道)」「久末鷺沼線」のいずれも一部区間。鉄道駅や公共施設と郊外の住宅地を結ぶ路線バスが走っている。昨年3月に改定された「都市計画道路網の見直し方針」によると、朝夕のピーク時には1時間当たり610~1280台ほどの車が通行し、運行速度は時速20キロ未満になるという。

 バスベイは、野川柿生線にある「向丘出張所」(宮前区)の溝の口駅方面の停留所など2カ所で整備。歩道の一部を削る形でバスの専用停車帯を設け、後続車をスムーズに通行させる。本年度設計に入り、来年度の工事完了を目指す。

 市によると、同停留所は主に市営バスが1時間に最大で上下線計53本運行。一方で道路は片側1車線で幅員は12メートルと余裕がなく、停車した路線バスの追い越しは困難で、一般車両を含めた円滑な通行に支障を来していた。

 交差点の改良は、久末鷺沼線の「子の神交差点」(同区)で実施。同交差点は右折レーンが狭く、右折待ちの大型車両が左側にはみ出し、直進車両の通行を阻害することもあった。センターラインを対向車線寄りにずらすことで解消を図る。

 昨年度に丸子中山茅ケ崎線と久末鷺沼線が交差する「久末交差点」(高津区)で同様の改良を実施済みで、一定の効果がみられたことから手法を踏襲する。

 市の都市計画道路を巡っては、地価の高騰や地権者の細分化などで用地取得が難航し、約3分の1の区間が未整備となっている。既に整備された道路も同様の事情から早期の拡幅などは難しく、市は着手可能な対策から順次推し進めていく方針。

 今後は、青信号の点灯時間を調整することで、路線バスなどを停車させずに優先的に走行させるPTPSの導入に向けた検討も進める予定。市都市計画課は「特に野川柿生線はバスが連なってくる状況。モデル路線での効果を検証し、他の路線にも広げていきたい」としている。

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