「マイナスからスタート」 星稜高野球部、林監督が復帰

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 星稜高野球部の林和成監督(43)が甲子園でサイン盗みを疑って起こした一連の騒動は5日、学校側が林監督の続投決定という形で区切りをつけた。2カ月の指導禁止処分が解けた林監督は報道陣を前に「ファンや多くの方に不愉快な思いをさせてしまった」と謝罪。「重圧はある。マイナスからスタート」と決意を述べたものの、学校には厳しい意見も多く寄せられており、信頼回復の道のりは平たんではない。

 学校側が報道陣に指定した午後2時40分、ユニホーム姿の林監督が時間通りに姿を見せた。地元メディアやスポーツ紙の記者ら約30人の前に進むと、軽く一礼、背筋を伸ばし、神妙な顔つきを崩さず質問に答えていった。

 林監督はチームを離れた2カ月間について「ユニホームを着られず、悔しいというか苦しかった。約20年間の教員生活を振り返って反省する日々を送った」と話し、処分解除を言い渡された際は「うれしい感情より、しっかりやらなきゃという決意が生まれた」と振り返った。

 処分期間中、チームは春の石川県大会、北信越大会で優勝。代行で指揮を執った山下智将部長(37)やスタッフに感謝を示し「プレッシャーを感じているが、夏を勝ち抜けるチームを作っていきたい」と誓い、会見後は笑みものぞかせ、部員77人の練習を指導した。

 林監督は3月28日の選抜大会2回戦、習志野(千葉)に敗れた一戦で相手のサイン盗みを疑い、試合後に怒り心頭で控室に乗り込む異例の行動を取り「ここで証拠を見せましょうか」などと詰め寄った。その後、無断で取材に応じることを禁止した学校側の指示に従わず、週刊誌の取材を受けた。学校を運営する稲置学園はフェアプレーの精神を侵し、相手校の名誉を傷つけたとし、4月上旬から6月4日まで指導を禁止する懲戒処分を科した。

 学校側は監督交代も含めて対応を検討してきたが、一連の言動を深く反省しているとして、林監督の復帰を認めた。鍋谷正二校長は4日に日本高野連、習志野の校長、保護者会などに謝罪と併せて監督復帰の報告を行い、「習志野の校長からは『(林監督は)まだ若いのでご指導してください』と気遣いの言葉を頂いた」と明かした。

 星稜は春夏32度の甲子園に出場。今夏はプロ注目の奥川恭伸投手をはじめ、内山壮真遊撃手ら元U−15日本代表3人を擁する。悲願の甲子園初制覇を狙える「最強世代」との呼び声も高いだけに、林監督の手腕にはファンの鋭い視線が向けられそうだ。