赤米神事 秋に学習発表へ 対馬・豆酘小の全児童30人 田植え体験、ご飯味わう

赤米の田植えに取り組む豆酘小の児童ら=対馬市厳原町豆酘

 稲作伝来の地とされる長崎県対馬市厳原町豆酘(つつ)地区で5日、赤米行事保存会(7人)による赤米の田植えがあり、地元の豆酘小の全校児童30人が赤米づくりや赤米の食文化を体験した。児童は今後、稲刈りなどにも取り組み、11月中旬に同地区などで開かれる「赤米サミット」で学習成果を発表する。

 豆酘地区では千年以上前から古代米をご神体とする「赤米神事」(国選択無形民俗文化財)が伝わっており、文化庁の日本遺産にも認定されている。年間10回以上に及ぶ神事を頭仲間(とうなかま)と呼ばれる住民の間で続けてきたが、農業離れなどで脱退が相次ぎ、2007年からは保存会の主藤公敏(すとうきみとし)代表(68)だけが継承している。仲間も65歳以上で、次世代への継承が急務となっている。

 同地区の赤米神田で主藤代表は「伝統ある田んぼで勉強してくれ、うれしい。大歓迎です」とあいさつ。子どもらは、保存会員から指導を受けながら手植えし、終了後は、赤米ご飯や甘酒などの振る舞いを受けた。同地区の赤米は、伝統的な食文化を守るスローフード協会(本部・イタリア)の「味の箱舟」にも認定されている。体験後、6年の勝井聖(ひじり)君(11)は「伝統を受け継ぐことの大切さ、大変さを知った。赤米はもちもちしておいしかった」とほほ笑んだ。

 赤米サミットは、対馬市が赤米伝承地とされる岡山県総社市、鹿児島県南種子町と14年に交流協定を結び、3市町持ち回りで開催している行事。対馬での開催は今回で3回目となる。

田植えを終えた後、赤米行事保存会の会員(左)と一緒に赤米ご飯、赤米で作った甘酒を味わう豆酘小児童

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