核廃絶 「総理に訴えたい」 8.9平和への誓い 山脇さん抱負

平和への誓いを読み上げる被爆者代表に決まり、抱負を語る山脇さん=長崎市役所

 8月9日の平和祈念式典で「平和への誓い」を読み上げる被爆者代表に決まった山脇佳朗さん(85)は5日、長崎市役所で記者会見した。「被爆者が生きているうちに、政府は核廃絶に向け毅然(きぜん)とした姿勢を世界に示してほしい。総理に直接訴えたい」と意気込みを語った。

 山脇さんは11歳の時、爆心地から2.2キロの稲佐町の自宅で被爆。父は爆心地から500メートルの岩川町で爆死していた。父の遺体を兄弟と一緒に荼毘(だび)に付した。

 戦後は長崎市の三菱電機で働き、被爆体験を語ることはなかった。定年退職後の1994年、語り部活動の必要性に疑問を投げ掛ける考えを新聞に投書。長崎平和推進協会から「一度話を聞いてほしい」と誘われて被爆者の講話を聞き、衝撃を受けた。

 それから「被爆者が生の体験を語ることが核兵器廃絶につながる」と考えを改めたという。定年後に身に付けた英語を生かし、海外でも活動。現在、年間50回程度の講話で被爆体験を語り、平和の尊さを訴えている。

 平和への誓いでは、平和憲法の堅持にも言及する意向という。「自分にふさわしい内容にしたい」と原爆の日に向けて気持ちを高ぶらせた。

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