車内で断線、方向切り替え伝わらず システム欠陥も認める シーサイドライン逆走事故

事故原因について説明する横浜シーサイドラインの担当者ら=6日午前、横浜市金沢区の本社

 横浜市の新交通システム「金沢シーサイドライン」の車両が逆走し、14人が負傷した事故で、運行会社は6日、車両内にある進行方向を検知する回路の一部が断線していた、と明らかにした。このため、進行方向を切り替える指示が車両側に伝わらず、全車両のモーターが一斉に衝突した車止めの方向に動きだしたとみられる。同社は断線が事故の要因の可能性が高いとし、システムに欠陥があったことも認めた。

 運行会社の第三セクター「横浜シーサイドライン」(同市金沢区)が同日、会見した。

 同社によると、断線していたのは、1号車後方部分に設置された「機器箱」内の回路。100本以上が束になって収納されており、うち1本が切れていた。

 シーサイドラインは、駅の地上と車両に搭載された自動列車運転装置(ATO)と自動列車制御装置(ATC)がそれぞれ信号を送受信しながら、完全自動運転を実施していた。既に地上側に異常はなかったことが分かっており、同社は車両側の電気系統などを調べていた。

 同社によると、事故車両は事故前、前照灯の点灯や扉の開閉といった地上からの指示を受信し、正常に作動させていた。

 一方、進行方向を切り替える指示は断線によって車両側に伝わらなかった。1号車の回路は他の車両の回路と連動しており、全てのモーターが後方に進むと認識。その結果、車両は逆走して約25メートル後方の車止めに衝突した。車両の後退を検知すると急停車する仕組みも機能しなかった。

 会見した同社の担当者は「車両全体が金沢八景駅(同市金沢区)に向かって走るよう認識すべきところ、一部の回路だけ、その認識が伝わっていなかった」とし、回路の断線が逆走の直接的な原因とみられると説明。断線で一部の指示が伝わらない事態を想定したバックアップ体制を取っておらず、その点は「システムの欠陥」との見方も示した。

 事故車両の回路は6年前から使用。同社は断線した原因や時間を特定するとともに、無人による自動運転での運行再開のためにシステムを改修するとした。

 同社は事故後、全線で運転を見合わせていたが、4日、有人による手動運転で運行を再開。ただ人員の都合などにより、従来の65%程度の本数にとどまっている。

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