撤去忘れた装置に電車乗り上げ 横浜市営地下鉄脱線「9日の全線再開目指す」

脱線した車両(横浜市提供)

 6日午前5時20分ごろ、横浜市泉区下飯田町の市営地下鉄ブルーライン下飯田駅を出発した、始発の湘南台発あざみ野行き上り電車(6両編成)が脱線した。乗客約130人にけがはなかった。市は原因について、線路上から撤去し忘れた装置に電車が乗り上げたと説明、人為的ミスによる事故と認めた。市によると、営業運転中の市営地下鉄が脱線事故を起こしたのは1972年の開業以来、初めて。

 市交通局は同日午前6時40分ごろ、あざみ野-踊場間で運転を再開。踊場-湘南台間は代行輸送バスで対応した。同局は「最短で9日始発からの全線運行再開を目指す」とし、7、8の両日もバスを運行する予定。

 市によると、電車は同駅から約150メートル走行した地点で、先頭車両の6号車から5両目の2号車までが進行方向左側に脱線。運転士がブレーキを掛け、電車は40メートル先で停車した。時速35キロ程度出ていたとみられる。乗客は最後尾の非常口から降車し、線路脇を歩いて同駅に避難した。

 装置は「横取り装置」と呼ばれ、長さは約3.5メートル。工事用車両を移動させるために、本線と保守用の側線との分岐部分にかぶせて使用する。

 6日午前1時半から同3時45分ごろまで、作業員3人が線路上で装置を点検。終了後に撤去したと思い込み、装置が線路上にあることを知らせる警告灯やブザーを止めた。そのため、司令所も運転士も装置が置かれたままになっていることに気付かなかった。

 会見した同局の城博俊局長は「利用者にご迷惑をかけて大変申し訳ない。早期復旧に全力で取り組むとともに、再発防止に努めたい」と謝罪。林文子市長も「先日のシーサイドラインの事故を受け、安全管理を徹底する中で、人為的なミスにより、このような事態を招いたことに対して、重ねておわび申し上げます」とのコメントを出した。

 事故を受け、運輸安全委員会は鉄道事故調査官3人を現地に派遣、調査を始めた。

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