2年に1度の甲子園で“元スター”が凱旋! 交流戦で注目の聖地を沸かせた男たち

日本ハム・中田翔【画像:(C)PLM】

日本ハムの中田はプロ入り後、甲子園での通算成績は打率.190、1本塁打4打点

 現行のレギュレーションでは、交流戦においては各カードごとに隔年でホームとビジターを入れ替えるルールをとっている。すなわち、パ・リーグの選手にとって、高校野球の聖地でもある甲子園球場で試合ができるのは2年に1度。2019年に甲子園で試合を行うパ・リーグのチームは、日本ハム(6月7日~9日)、楽天(6月19日、20日)、西武(6月21日~23日)の3チームとなっている。

 そこで、今回はこの3球団に所属する選手たちの中から、高校時代に甲子園で活躍した面々をピックアップ。平成の甲子園を沸かせたスターたちは、令和最初の交流戦で、思い出の地を舞台にどのような活躍を見せてくれるだろうか。

○日本ハムには甲子園で活躍したスターがズラリ

 中田翔内野手は、平田良介選手や辻内崇伸氏と共に出場した2005年夏の甲子園で投打に活躍。「スーパー1年生」として注目され、その後もチームの4番として活躍を続けた。現在はファイターズの主軸を張っている中田だが、実はプロ入り後の聖地・甲子園での試合では苦戦を強いられている。甲子園球場での年度別打撃成績は以下の通りだ。

2011年:2試合 8打数1安打 0本塁打0打点 打率.125
2012年:2試合 8打数3安打 0本塁打1打点 打率.375
2013年:2試合 8打数1安打 0本塁打0打点 打率.125
2014年:2試合 9打数3安打 1本塁打2打点 打率.333
2015年:3試合 10打数1安打 0本塁打0打点 打率.100
2016年:試合開催なし
2017年:3試合 15打数2安打 0本塁打1打点 打率.133
2018年:試合開催なし
通算 :14試合 58打数11安打 1本塁打4打点 打率.190

 このように、通算打率1割台に加えて、本塁打数もわずか1本、打点も「4」と、2度の打点王に輝いた経験を持つリーグ有数のクラッチヒッターとしてはやや寂しい数字となっている。プロ入り後も着実に成長して日本代表の4番にまで上り詰めた主砲は、2年ぶりとなる聖地での一戦でその本領を発揮し、甲子園のスターとしての意地を見せられるか。

日本ハムには清宮、平沼らスターがズラリ、楽天は1試合22奪三振をマークした松井

 中田と同様に1年生の時から注目を集め、大フィーバーを巻き起こした清宮幸太郎内野手にとっては、プロで初めて経験する甲子園での公式戦となる。中田と清宮には「3年夏の甲子園に出場できなかった」という共通点があり、早稲田実業高校時代の最後の夏の無念を晴らすにはまたとない舞台だろう。ケガを乗り越えて1軍に戻ってきた大器は、思い出の地で再び人々の印象に残るような一打を放てるだろうか。

 さらに、エースとして敦賀気比高校を2015年春のセンバツ優勝に導いた平沼翔太内野手も、プロ4年目の今季、ついに1軍に定着。プロに入ってからは優れた打撃センスを生かすために内野手に転向し、攻守両面で着実に実力を伸ばしてきた。三塁手や遊撃手として1軍の舞台でも存在感を発揮しつつある逸材が、かつて栄光を掴んだ地で大きな成長の跡を見せてくれるかもしれない。

 甲子園といえば、杉谷拳士内野手の存在も忘れてはならない。帝京高校時代に1年生ながら遊撃手のレギュラーを務めた杉谷選手は、準々決勝の智辯和歌山高校戦で1点リードの9回裏、無死1塁でリリーフとしてマウンドに上がる。しかし、初球からいきなり死球を与えてしまい、わずか1球で降板。その後、杉谷選手の出した走者がサヨナラのホームを踏んだことで、「甲子園で1球敗戦」という史上稀にみる記録を残してしまった。今季、NPB19人目の左右両打席本塁打を記録したムードメーカーは、苦い記憶を振り払い、聖地で新たな伝説を作れるか。

○楽天には、近年の甲子園でインパクトを残した若き逸材が多く存在

 松井裕樹投手は桐光学園高校の2年生だった2012年夏の甲子園1回戦(対今治西高校)で、それぞれ大会新記録となる10者連続三振・1試合22奪三振という圧倒的な投球を披露。大会通算でも歴代3位となる68個の三振を奪い、全国の高校野球ファンの注目を集めた。当時と同じ背番号「1」を背負ってプロの舞台でも活躍を続ける左腕は、守護神として上がるマウンドでもかつてと同様の鮮やかな奪三振を見せてくれそうだ。

 今季から新たにチームの一員となった浅村栄斗内野手も、2008年夏に「1番・ショート」と全国制覇を経験。甲子園球場は縁起の良い地だろう。シーズンが進むにつれて徐々に持ち前の長打力を発揮し始めた昨季の打点王は、2回戦の金沢高校戦で1試合2本塁打を放つ活躍を見せた高校時代と同様に、チームを勝利に導く一打を放てるか。

 近年の活躍が記憶に新しいのがオコエ瑠偉外野手だ。関東第一高校時代の2015年夏、圧倒的な身体能力を武器に走攻守にわたって大きなインパクトを残してチームをけん引。母校のベスト4入りの原動力となった。プロ入り後はここまで苦戦が続いているが、今季は開幕から一軍に帯同しており、首脳陣の期待値も高いはず。自らの名を大いに上げ、野球人生のターニングポイントにもなった地で、プロの舞台でもブレイクにつなげるような大活躍を見せたいところだ。

 オコエの他にも、楽天には2013年春のセンバツを1人で投げ抜いて済美高校を準優勝に導いた安樂智大投手や、名門・横浜高校のエースとして甲子園でも存在感を発揮した藤平尚真投手といった期待の若手も在籍している。ともに今季は結果を残せずに苦しんでいるが、若き逸材たちに聖地で活躍の機会は訪れるだろうか。

西武に高橋光、今井と優勝投手が2人、春夏連覇の捕手・森も健在

○優勝投手2人と優勝捕手1人と多士済々の西武

 高橋光成投手は2013年夏の甲子園で2年生ながら前橋育英高校を初出場初優勝に導き、持ち前の快速球を武器に大きな注目を集めた。プロ入り後も1年目に鮮烈な活躍を見せたが、その後はやや足踏みが続いている印象も受ける。今季の5月8日に行われた前橋での凱旋登板では6回7失点と満足のいく結果を残せなかっただけに、もうひとつの思い出の地でもある甲子園では再び輝きを見せたいところだ。

 西武には、高橋光成投手と同じく甲子園の優勝投手である今井達也投手も在籍している。作新学院高校時代から150キロを超える速球を投げて注目を集めた今井投手は、プロ2年目の昨季に1軍デビューを果たして5勝をマーク。今季は開幕から先発陣に加わり奮闘している。聖地での登板が実現するかはローテーションの巡り合わせ次第だが、若き右腕がプロ入り後初めて甲子園のマウンドを踏む姿を心待ちにしているファンの数は、決して少なくはないはずだ。

 先述の2人のみならず、十亀剣投手も2005年春のセンバツを制した愛工大名電高校の優勝メンバーの1人だ。しかし、当時の十亀投手はエースではなく控え投手。大学、社会人を経て投手としての実力を高めていき、2011年のドラフト1位で入団した後もチームに貢献し続けている。今季途中から先発ローテーションに復帰したベテランにとって、甲子園での登板が叶えば、それはさまざまな意味で自身の実力を証明するためのマウンドとなりそうだ。

 捕手陣では、同学年の中田翔選手とバッテリーを組んで春夏の甲子園に出場した岡田雅利捕手と、1年先輩の藤浪晋太郎投手(阪神)とバッテリーを組んだ2012年に甲子園春夏連覇を達成した森友哉捕手にも注目だ。セ・リーグ主催の試合では指名打者が使えないこともあり、同ポジションである2人が同時にスタメンに並ぶ可能性は低いかもしれない。だが、強豪で正捕手を務めた2人は、甲子園の地でもそれぞれの持ち味を生かして投手陣を盛り立ててくれるはずだ。

「パーソル パ・リーグTV」では、パ・リーグ主催の交流戦54試合に加えて、甲子園で行われる交流戦全8試合も生中継で配信予定だ。かつて甲子園を沸かせたヒーローたちの活躍を、この機会に改めてご覧になってみてはいかがだろうか。(「パ・リーグ インサイト」望月遼太)

(記事提供:パ・リーグ インサイト)

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