国内最大級 電池駆動船「e-Oshima」12日竣工 大島造船所

試験航行するe-Oshima(大島造船所提供)

 大島造船所(長崎県西海市、平賀英一社長)が建造していた国内最大級の電池駆動船「e-Oshima」(340トン)が竣工(しゅんこう)、命名式が12日開かれる。自動操船システムも搭載しており、船舶の省人化と安全性向上に向け、実証航行を行う。
 全長35メートルで乗客は最大50人。普通乗用車8台も積載できる。バッテリー容量は約600キロワット時で、一般的な電気自動車(EV)の十数台分に相当する。内燃機関は使用せず、必要な動力は全て電池でまかなう。同社によると、完全電池駆動は国内初という。造船所で造られた船の命名式に出席する来賓を送迎する船として、大島造船所と対岸の同市西海町太田和間の約3キロを航行する。
 自動操船システムは、三菱重工のグループ会社、MHIマリンエンジニアリングと共同開発する。今後、実証運航を通じ、事前に設定した航路の保持、衝突・座礁事故などの防止、自動離着桟など機能の確立を目指す。
 自動操船にはレーダーや高精度GPS、自動衝突予防援助装置、船舶自動識別装置(AIS)などから得られたデータを活用する。昨年度、国土交通省の自動運航船の実証事業にも選定された。
 同社は風力と内燃機関で動くハイブリッド貨物船の開発も進めており「燃費がよく、環境に優しい船づくりにも取り組みたい」としている。

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