公示まで1カ月 現新、準備を加速 懸念材料も 参院選長崎 自民 分裂した県議団の溝深く 野党 共闘固まるも知名度不足

 「7月4日」が有力とされる参院選公示まで約1カ月。長崎選挙区(改選数1)は、再選を目指す自民現職の古賀友一郎氏(51)に、野党が候補者一本化で合意した国民民主新人の白川鮎美氏(39)が挑む構図となりそうだ。両氏とも懸念材料を抱える中、9日にはそれぞれが事務所開きを予定するなど、決選に向けた準備を加速させている。
 「県議会で(自民党が)分裂する中、一致団結して選挙ができるのか」。2日、長崎市内であった自民党支部の会合。古賀氏の前で出席者の一人が懸念を口にした。
 自民県連の出馬要請に応じた初陣は、民主(当時)現職に圧勝。自民議員らの強力な支援も一因だったが、その自民県議団は分裂し、主導権争いを繰り広げる。5月の県議会正副議長選では古賀氏に近い第1会派「自民・県民会議」側が敗れ、古賀氏とは距離を置く第2会派「自民」が、国民民主などの議員でつくる第3会派の協力を得て両ポストを勝ち取った。今月9日の県連大会で正式決定する県連三役も第2会派が独占する見通しで、両会派の“溝”は埋まりそうにない。
 その“溝”を象徴した場面がある。5月下旬、諫早出身の古賀氏や自民県議も多数参加する中、諫早市で開かれた農業関係の大会。終了後、古賀氏を励ます会が催されたが、第2会派に所属する県議のほとんどが会場を後にした。
 古賀氏は「日本の行く末を決める重要な選挙。大同団結の上、支援いただきたい」と求めるが、第2会派の県議は「地域を回らないし、普段の付き合いがない」と冷ややか。不満は第1会派からも。総務兼内閣府政務官の公務を抱え、地元に戻る時間も限られる古賀氏に対し、第1会派の県議は「動きが鈍く、人任せ。選挙は自分で仕切ってもらわないと困る」と手厳しい。
 「課題を挙げるとすれば、新人ゆえの知名度の低さ」。国民民主の西岡秀子衆院議員(長崎1区)は白川氏について、こう指摘する。
 政治経験ゼロ。支持労組出身でもない。白川氏は知名度不足をカバーしようと各地の街頭にほぼ毎朝繰り出し、県議や市議らとのつじ立ちを重ねるなどして、浸透に躍起だ。だが、国民民主の地方議員は長崎、佐世保両市に集中し、選挙の足掛かりには不安が残る。
 こうした中、国民民主、立憲民主、共産、社民の県内4野党は5月下旬、市民団体を橋渡し役に、今回の参院選長崎選挙区での候補者一本化に合意した。「憲法9条を変えられてしまうという危機感がある。(自民1強に風穴を開けるため)本気の野党共闘を目指す」。新人の擁立を取り下げた共産の関係者は、こう息巻く。
 それでも、各党の間では共闘のスタンスや政策を巡る温度差もあり、どこまで機能できるか不透明だ。「前回の参院選では共闘がこじれ、うまくいかなかった。今回もそうならなければいいが」。関係者は、こんな不安を漏らす。

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