6月8～9日に開催されるTCRドイツ・シリーズの第3戦オーストリア・レッドブルリンクに、WTCR世界ツーリングカー・カップ王者のガブリエル・タルキーニがゲスト参戦することが決定。また同週末開催のTCRオーストラリア第2戦には2台のアウディRS3 LMSも新規エントリーし、そのドライバーにVASCヴァージン・オーストラリア・スーパーカーの大ベテランで、バサースト1000勝者でもあるガース・タンダーが夫婦で起用されることになった。
元WTCC世界ツーリングカー選手権ドライバーの名伯楽、フランツ・エングストラー率いるチーム・エングストラーのゲストカーをドライブするタルキーニは、開幕戦のグイド・ノーマン、第2戦のジェシカ・バックマンに続き、チーム3台目のヒュンダイi30 N TCRを走らせることになる。
先月にもヒュンダイ・カスタマー・レーシング部門からアナウンスされていたとおり、WRC世界ラリー選手権でワークスドライバーを務めるティエリー・ヌービルとともに、いずれかのラウンドでの登場が予定されていた現WTCR王者だが、WRCでエースを務めるヌービルより一足早く、彼らの拠点があるドイツ国内シリーズ戦へのゲストエントリーが実現することになった。
「私は昨年のシリーズを何レースもテレビで観戦したんだ。とくにヒュンダイがドイツ・シリーズにデビューして以降はね」と語ったi30 N TCRの開発ドライバーでもあるタルキーニ。
「ドライバーのレベルが非常に高いので、レースはとてもエキサイティングで見ていて楽しいよ。1999年のSTW（ドイツ・スーパーツーリング選手権）以来、こうしてふたたびドイツのシリーズに参加できることをとても楽しみにしている」
一方、TCRジャパンと同様2019年創設となったTCRオーストラリアの第2戦、フィリップアイランドに向け、同国でフォルクスワーゲン／アウディ系のインポーターを務めるメルボルン・パフォーマンス・センター（MPC）は新たに2台のアウディRS3 LMSを投入することを決定。
開幕戦となったシドニー・モータースポーツパーク（イースタン・クリーク・レースウェイ）で走らせたアーロン・キャメロン（フォルクスワーゲン・ゴルフGTI TCR）とリク・ブリューカーズ（アウディRS3 LMS）に加えて4台体制に拡大することとなった。
「この2台の新車はまだ販売、またはリースを予定しているが、それに先立ってフィリップアイランドで走らせることを決めた。シドニーの後、我々はTCRに関して信じられないほど肯定的なフィードバックを受けたんだ。このシリーズの可能性は本物だと感じたよ」と語るのは、MPCのマネジングディレクターを務めるトロイ・ラッセル。
そのアウディのドライバーに起用されたのは、2007年のVASCチャンピオンでもあるガース・タンダーだった。
「本当に楽しみだよ。私自身、開幕戦シドニーのホットな観戦者だったので、フィリップアイランドで最新のTCRアウディをドライブできるなんて考えてもみなかったし、素晴らしい機会だよ」と喜びを表現した42歳のタンダー。
「これまでドライブしてきたマシンとは何もかもが異なるし、頭を切り替えるのは大変な作業になるだろうね。僕は前輪駆動のレースカーで戦った経験がないし、シドニー大会を見ていてもリヤタイヤをいかに発動させるかがカギのようだった」
タンダーはこの6月8～9日の週末、TCRシリーズと並行してオーストラリアンGTエンデュランス・チャンピオンシップにも参戦し、GT3車両のアウディR8 LMSもドライブする。
「シドニー大会を見る限り、FF車でのバトルは本当に面白そうだ。ウィル・ブラウンやトニー・ダルベルト、ジェイソン・ブライトといったレギュラー勢は完全にスイッチが入っている。彼らには開幕1戦分の経験というアドバンテージをあるし、彼らに追いつき同じ場所で戦いたいね」
また、シートが空いていたもう1台のアウディRS3 LMSのステアリングを握るドライバーも週末を目前に発表され、タンダーの妻であり自らもフォーミュラ・フォードやV8スーパーカー参戦経験を持つリアン・タンダーが4人目の女性ドライバーとしてグリッドに並ぶことも決まっている。
「私もその他のカテゴリーでこのトラックを何度も周回しているけど、TCRマシンで走ることが実現して本当に興奮しているわ。シドニー以降、このシリーズはもっとも旬な話題になっているし、主人と一緒に走れるのも本当に光栄よ」と、意気込みを語ったリアン。
さらにもう1台のアウディにも、ブリューカーズに代わってSuper3参戦中の19歳、ハミシュ・リバッツの起用がアナウンスされ、TCRオーストラリア第2戦には合計18台のマシンがエントリーしている。
