世界に一つICTで新聞 くまTOMO編集室、遠隔授業 新聞博物館と高森中結ぶ

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テレビ開始システムを使った大型スクリーン(右)に向かって取材形式で質問する高森中の男子生徒=高森町
タブレット端末を使って記事を執筆する児童たち
記者体験講座で参加者が作った号外の一つ

 遠隔地をICT(情報通信技術)で結び新聞作り-。熊本県高森町で5月25日、小中学生を対象に開かれた情報活用セミナーで、くまTOMO編集室が初めて記者体験授業を実施。テレビ会議システムを使い、約40キロ離れた高森中と熊本市の新聞博物館(熊本日日新聞社内)を生中継。参加者たちは印刷の歴史や収蔵品について取材。記事も執筆し、世界で一枚の「熊日号外」を発行しました。(読者・NIEセンター 藤山裕作、林田貴広)

 新聞の歴史を紹介する新聞博物館は1987年、日本で初めてオープン。この日は松下純一郎館長が案内役を務めました。

 まず大型スクリーンに飛び込んできたのが3年前の熊本地震で保管棚から落ち、床に散乱した鉛活字。40年ほど前まで職人が1字ずつ拾って紙面を作っていました。

 最も注目を集めたのが、すみかを離れて再び戻ってくる帰巣本能を持つ「伝書鳩」。取材現場から原稿やフィルムを背中の細長い筒に入れて運びました。遠い場合、200キロを移動したと知り、子どもたちは驚いた様子。

 15世紀に登場した世界最古のグーテンベルク印刷機(複製)の実演では、活字をセットし「ギーッ」とレバーを回して紙に押し付けると、「たかもりまちのみなさんこんにちは つぎはしんぶんはくぶつかんにきてくださいね」とのメッセージが印刷され、高森中側から大きな拍手が起こりました。

 さらに熊日の題字を使い、特別なニュースを速報する号外作りに挑戦。印象に残った松下館長の言葉を選んで記事化したり、少ない文字で見出しを付けたりしました。事前に決められた締め切り時間に追われる姿は本物の記者のよう。

 松下館長は講評で「古い印刷機と最先端のICTの記事を盛り込み、進化が分かる紙面が良かった」「同じ面の見出しに『!』は使いすぎないで」などと助言しました。

 参加者の一人で高森中3年の住吉秀心君は「多くの情報を伝えるため新聞が工夫していることが分かりました」と笑顔で語りました。

●松下館長から

 アナログ的な新聞と、最先端のICTを組み合わせたおもしろい試みだったと思います。ただ、新聞を作る技術は進化しても、人が作っていることは変わりません。自分の目で見て考え、まとめることで生まれる手作り感こそが新聞の大切さでもあります。今回の講座でみなさんに少しでも伝わったならばうれしいです。

(2019年6月8日付 熊本日日新聞朝刊掲載)