J1神戸「バルサ化」形骸化 新監督はスペインでのプレー、指導経験無し

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神戸の新監督に決まったフィンク氏。クラブスタッフとの打ち合わせ後、練習場を後にした=神戸市西区、いぶきの森球技場

 J1神戸は8日、吉田孝行監督(42)が退任し、新指揮官にドイツ出身のトルステン・フィンク氏(51)が就任する新体制を発表した。監督交代は今季2度目。3人の新コーチも決まった。

 スペインでのプレー経験と指導歴がないドイツ人、フィンク氏の新監督就任。スペインの名門バルセロナのように、ボールを持ち続けて攻めるポゼッションサッカーを追い求めた神戸の「バルサ化」は、もはや形骸化した。

 4月17日、バルサの黄金期を築いたグアルディオラ氏の師匠ともされるリージョ氏が突然辞任し、7カ月ぶりに吉田氏が再登板した後、チーム総責任者の三浦スポーツダイレクター(SD)は任期について「今季最後まで? もちろん」と明言し、バルサ化継続を強調していた。しかし、成績は上向かず、理想のスタイルは失われていった。

 2003年の延長Vゴール廃止後では、クラブワーストとなるリーグ7連敗。三浦SDは「改革に痛みは伴う」などとして監督交代を否定し、今月6日まであったミニキャンプも吉田氏が精力的に指導したが、そのわずか2日後、新監督の起用が明らかになった。

 バルサ化は、クラブ史上初の統一的なコンセプトだった。神戸はイニエスタ、ビジャ、サンペールとバルサでプレーしたスペイン人を次々と獲得。イニエスタも「プロジェクト」と意気に感じ、チーム強化について助言してきた。これら戦力を新指揮官がどう生かすか、戦術とのミスマッチが生まれないか不安も残る。

 バルサの育成部門出身者を招き、改革が着々と進む下部組織との整合性も問われる。お手本となるべきトップチームの方針が揺らいでいては、クラブの将来にも悪影響が出るだろう。

 三浦SDは8日夕、報道陣に対応せず、足早にクラブハウスを後にした。広報は「後日、(三浦SDが)話す場を設ける」と説明した。

 神戸はシーズン途中の準備期間が短い状況で、Jリーグ未経験の指揮官に再建を託す。1シーズン2度の監督交代は神戸にとって通算5度目。いずれも04年の三木谷会長の経営権取得後にあたる。成績がV字回復したことはなく、J2に2度降格している。

 最初に降格した05年に主将を務めた三浦SDの頭には、どんな強化プランが浮かんでいるのだろうか。説明が待たれる。(有島弘記)