フィリピンと日本の文化ギャップとは?漫画家前田ムサシ先生爆笑インタビュー

TABIZINEでも人気の、文化ギャップネタ。そこで今回、すてきな日比カップルをインタビュー!『フィリピン妻4コマ日記』の前田ムサシ先生と奥様に、どんな文化ギャップがあったか、そして今、どんなスタイルが定着しているかおうかがいしてみました。意外な答えが!秘蔵フォトもたくさん送って下さいました。癒されたい人、爆笑したい人、必見です。

『フィリピン妻4コマ日記』と続編は、いつでも泣ける純愛ものでもある

(C)前田ムサシ

国際結婚、国際恋愛がテーマの漫画は1つのジャンルになっていますね。そこに描かれるリアルな文化ギャップ、カップルとその周辺の人々の深い異文化交流や、互いの文化の紹介はこれらの作品の大きな見どころです。

今回ご紹介するおすすめ作品はこちら。前田ムサシ先生の『フィリピン妻4コマ日記』(PHP)と、その続編ともいうべき『フィリピンかあちゃん奮闘記inジャパン』(ぶんか社)です。

『フィリピン妻4コマ日記』では、前田先生と、奥様であるルビーナ・ジーンさんの出会いから結婚、二人の間に産まれた3人のお子さんとの生活が語られています。少しだけご紹介しましょう。

「これが二人の 自然な流れなのかなと 思いました・・・」と結婚を決めた二人にも、文化ギャップは次々とやってきます。例えば、ルビーナさんは日本のお風呂は大好きですが、銭湯に入れませんでした。またあるときは、風邪をひいた前田先生をルビーナさんは献身的に看病。そして作ってくれたのが、「チョコレート入りのおかゆ」。フィリピンでは風邪をひいたときの定番なのだそうです。

またこの本はフィリピンの日常生活や人々、その魅力が丁寧に描かれた本であり、いつでも泣ける純愛ものでもあります。

フィリピンの女の子(画像はイメージです)

幸せな生活は続きます。

「ボクにとっては家族との毎日が一番の思い出です」と、『フィリピンかあちゃん奮闘記inジャパン』で語る前田先生。この本にも日比文化ギャップ、異文化交流の話がたくさん出てきます。ルビーナさんのフィリピン料理のレシピも載っていますよ!

筆者はこれらの作品で、何度感動して泣いたか分かりません。繰り返し読んでいたので、本のカバーがなくなっちゃったくらいなんです。

いつかお話をうかがいたいと思っていた前田ムサシ先生と、奥様のルビーナ・ジーンさんの、インタビューが実現しました!!

筆者を作品で何度も泣かせた、前田先生とルビーナさんはどんな人!?

――インタビューよろしくお願いいたします!すてきな作品ですね。純愛という感じで、何度も読み返しても泣けます。また、フィリピンの魅力、文化が分かりやすく描かれていて面白かったです。それでも、日本とフィリピン、お互いの文化ギャップはあったと思うのですが、最初に、相手の異文化に関することで、びっくりしたのはどんなことでしたか?

前田:フィリピンの人って手で食べるんですよね。指をスプーン代わりにしてご飯とおかずを混ぜながら食べるんです。はじめはびっくりしました。

――作品に出てきましたね。前田先生は手で食べること、ですか。ではルビーナさんは?

ルビーナ:日本はお皿の種類がたくさんあるからびっくり!フィリピンはプレート一枚だけだから。いろんなお皿がありすぎて、どのお皿に何を入れるのか分からなくなっちゃうんです。

――そういえば、日本はお皿の種類が多いですよね。それは、どちらがどちらに合わせたのでしょうか?また、どのようにして解決されましたか?

前田:考えてみれば日本でもおにぎりやお寿司は手で食べますし・・・試しにフィリピン料理を手で食べてみるとすごくおいしいんです。それからはボクもたまに手で食べてますよ。

――たしかに、おにぎりは手で食べるからこそのおいしさがあると思います。考えてみれば、手で食べた方が、より五感を使うことになるかもしれないですね。食べものに触れながら食べるわけですから。

ルビーナ:日本でいろいろなお料理を作っているうちにお皿を選ぶのが楽しくなってきました。お買い物に行くとつい新しいお皿を買っちゃうんです。今の我が家はお皿だらけですよ。

――おお!お二人とも、見事な歩み寄りが・・・そして今、新しいスタイルが定着しているわけですね。

ルビーナ:でも自分で食べるときはお皿一枚です。洗うのめんどくさいからね。ハハハ!

――あっ、そう落ちるんですね。ルビーナさんってやっぱり面白い方なんですね。

秘蔵フォトをたくさん送って下さったお二人

――反対に、「フィリピンの文化のこういうところって魅力的だな」「日本文化のここがいい」、というエピソードがあったらお願いします。

前田:フィリピンの魅力はいいかげんなところですね。いいかげんっていうと言い方が悪いですけど、良く言えば気楽な雰囲気。どこに行っても誰に会ってもあっけらかんとした感じで南国っぽくていいですね。家族・親戚・ご近所のつながりが強いのも魅力的。お祭りや誰かの誕生日となると知らない人まで集まってきますから面白いです。

(C)前田ムサシ

実は今回、前田先生は、「フィリピンに家族で行った写真があります」と、この取材のために、たくさん写真を送って下さったんです。

そして、フィリピンでの写真には、ほぼいつも必ず、

「すてきな笑顔のこの人は、誰なんだろう」

という人、人たちが一緒に写っているんです!!集合写真の人数も多かったです。

――お子さんは3人ですよね?右のかわいい女の子は、誰なんですか?

前田:妻の兄の娘の娘・・・つまり姪の子供です。一緒にプールに遊びに行ったときに撮った写真です。この子がとてもやんちゃで遊び相手をするのにみんな手を焼きました(笑)。

フィリピンでは親戚も含めて「ファミリー」なので遊びに行くときは自然と「みんなで一緒に!」ということになるんです。

――親戚も含めて「ファミリー」、フィリピンの文化ってすてきですね。

(C)前田ムサシ

――そして、何枚も写真を送って下さった、かっこいいこの大きな車はどなたの車なんですか?

前田:これはフィリピンのジープニーという乗り物。みんなでプールに行くときにドライバー付きで借りた車です。ちなみにそのドライバーも妻の親戚です。フィリピンは本当に親戚が多いですね。

ジープニーというのはフィリピン名物の乗り合いバスのこと。この車はまだ地味な方でフィリピンの街ではド派手にデコレーションされたジープニーがたくさん走ってるんですよ。

――なるほど。ルビーナさんはどうですか?

ルビーナ:日本は礼儀正しいところがすごいです。ご飯を食べるときもちゃんと「いただきます」「ごちそうさま」って言うし。玄関できちんと靴をそろえて脱ぐのもすばらしいです。

――わあ、なんだか嬉しいです。それと、お互いのここがいいと思った!というお話でもいいですよ!!ルビーナさん、日本人男性は魅力的ですか?

ルビーナ:え?どうだろう!?日本の男性はまじめなところがいいかな?でもまじめ過ぎるからつまらない・・・。うちの旦那の場合はいつも黙ってて何を考えてるかわかりません。なんで結婚したんだろね。ハハハ!

――そんな、作品では思いっきりのろけていらっしゃるじゃないですか。前田先生、奥様って気立てのいい方ですよね・・・。

前田:気立てがよくて・・・というか、とにかく感情表現が豊かですね。特に怒るときのテンションが高いです。でも次の瞬間にはもう笑ってテレビ見てますから・・・とにかく明るいところがいいですね。

日比文化ギャップ、「どうやって合わせる!?ハハハハ!」

(C)前田ムサシ

――おつきあいが続いてからも、文化ギャップはきっとありましたよね?そのときはどうされましたか?

前田:どうされました・・・というか妻のやり方に従うしかないですね。フィリピン人女性と結婚した日本人男性はみんな同じだと思いますよ(笑)。

ルビーナ:お互いに合わせるしかないね。どうやって合わせる!?ハハハハ!

――「どうやって合わせる!?」かあ・・・(笑)。結婚して、3人のお子さんにも恵まれました。今でも日本とフィリピンの文化ギャップはありますか?

ルビーナ:日本の学校はすごくしっかりしてる。時間を守るとか。しっかりしてるけどやることが多すぎて先生も子供も大変そう・・・。もっと楽しくやればいいのにね。

前田:そうですね、ボクも感じるのは子供の生活かな。日本の子供はフィリピンの子供に比べると窮屈な生活をしているように感じますね。子どもだけじゃなく大人もそうですけどね。

――窮屈っていうのは、あるでしょうね。

(C)前田ムサシ

――「ボクにとっては家族との毎日が一番の思い出です」と、『フィリピンかあちゃん奮闘記inジャパン』にあります。2つの文化が融合、もしくは歩み寄りがなされているから、今の生活があるわけですよね。今、どんなスタイルが定着しているのでしょうか。

前田:結婚してもう20年になりますので・・・我が家のスタイルがどんなものなのか自分ではよくわかりませんけど。ただ「日本ではこうするのが普通!」と決めつけないようにはしています。まあ基本はとにかくいつも妻のペースですね。

ルビーナ:いつも通り。毎日楽しく!

おすすめのフィリピン料理は?

アドボ (C)前田ムサシ

――フィリピン料理のお話が作中に出てきます。作るのが簡単、しかもおいしいそうで。おつきあいしてから今まで、ルビーナさんのお料理はフィリピン料理中心ですか?お二人のおすすめフィリピン料理をぜひ教えて下さい。

前田:妻は日本の料理も何でも作ります。普段のご飯はフィリピン料理と日本の料理が半々って感じですね。お料理好きだからなんでも上手でおいしいですよ。ボクのおすすめフィリピン料理はアドボかな。

ルビーナ:フィリピン料理の定番といえばアドボとシニガンです。アドボはお肉をお酢と醤油と香辛料で煮込んだ料理。シニガンは野菜とお肉が入った酸っぱいスープ。どちらも子供たちも大好きな料理でとってもおいしいですよ!

――ちなみにルビーナさんは、日本料理は好きですか?

ルビーナ:日本料理は大好きですよ。一番好きなのは天ぷらと煮魚です。日本に初めて来たときに食べた天ぷら蕎麦がおいしかったんですよ。

旅先としてのフィリピン

――ご家族でフィリピンに行かれたそうで。どんな旅でしたか?旅行先としてのフィリピンの魅力、おすすめの場所をうかがえれば。

前田:妻の故郷であるラグーナ州サンパブロに里帰りしました。地元の市場に行ったり、トライシクル(フィリピンの3輪タクシー)に乗ったり、ジープニー(フィリピンの乗り合いバス)に乗ったり・・・何気ないフィリピンの日常が子供達には面白い体験になったみたいです。

ルビーナ:私はフィリピンの観光地は全然行ったことがないんです。きれいなビーチで有名なボラカイ島に行ってみたいな。

――ルビーナさん、日本の好きな場所、もしくは行ってみたいところは?

ルビーナ:京都に行ってみたい!お寺に行ったり温泉に入ったりしてみたいです。

――お二人のこれからの夢はなんですか?

前田:一番の夢はボクの漫画の映画化。ひょんなきっかけから「映画化決定!」なんてこともあるかも・・・なんて時々妄想しています。

――すてきな作品ですもんね。そうなったら絶対、拝見します!

ルビーナ:今年の目標は日本語能力検定N1合格。去年の12月の試験でN2に合格したんです。次はついにN1・・・難しいけどがんばります!

あと日本でフィリピン料理のお店を出すのが夢なんです。日本人の知らないおいしいフィリピン料理がまだまだたくさんあるんですよ。今お店に出すメニューをいろいろ考えてます。

――食べてみたいです!本当にどうもありがとうございました。最後に、ぜひTABIZINEの読者にメッセージを。

前田:ただいま「国際結婚 海外子育てあるある お父さんもつらいよ!?」というタイトルの漫画を執筆中。上海・ソウル・バンコク・マニラの各都市で国際結婚した男性が子育てに奮闘する姿を描いたもので、原作は科学研究費の補助を受けた論文なんですよ。

これからも異なる文化同士が理解しあえるような作品を描いていきたいです。

ルビーナ:日本人ってフィリピンのことあんまり知らないですよね。私が出てる漫画をきっかけにフィリピンにもっと興味を持ってもらえたらいいな、なんて思います。

――こちら(筆者TOSHI)は、ルビーナさんが出ているこの漫画がきっかけでフィリピンに興味を持つようになりましたよ。皆様のますますのお幸せと、今後のご活躍に期待しています!

「国際結婚 海外子育てあるある お父さんもつらいよ!?」原作

越境する結婚移住者の教育観に関する基礎調査:国際結婚した在外日本人父親の言説分析

https://kaken.nii.ac.jp/ja/grant/KAKENHI-PROJECT-16K04630/

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