金融や医療、行政のシステム構築 日本ビジネスソフト

佐世保から世界へ 工業会企業の「技術力」・12

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ソフトウエアやシステムの開発に取り組む社員=佐世保市三川内新町、日本ビジネスソフト

 さまざまな道具を使いこなす手や、状況に応じて速度を変える足など、人体をハードに例えるなら、ソフトウエアはそれを動かす“感覚”なのだろう。
 まだ日本でインターネットが知られていなかった1980年代初め。関東でソフトウエアの開発に当たっていた小原三徳氏は、地方でも需要が増えると見越して帰郷。83年に創業した。地元の商店や企業の要望を聞きながら、販売管理や会計のソフトを開発した。しかし2003年に急逝。長男の小原丈治氏(43)が代表取締役社長を務める。
 医療や金融、行政といった専門知識を必要とする分野のシステム構築を得意にしている。地方銀行が企業に融資をする際に必要となる審査の仕組みをシステム化。パソコンで預金口座の入出金を確認するインターネットバンキングを構築した。電子カルテや自治体で使う地図情報システム、企業内でコンピューターネットワークを活用して情報を共有する「グループウェア」も開発した。
 大手メーカーと連携して、エックス線の画像診断、QRコードを活用した東京五輪関連のシステムなどの開発を進めている。ホテル日航ハウステンボス(佐世保市)などと協力して、観光情報を4カ国(英、中、韓、日)語で音声・文字案内するロボットも近く完成させる予定だ。
 日本のものづくりはハード中心で、ソフトウエアなど“見えない”分野は軽視されてきた。自動車、携帯電話、テレビ、カメラ、電子レンジ、産業ロボット…。今ではあらゆる家電製品や産業機器にソフトウエアが内蔵され、ハードを制御し、必要な機能を実現している。小原社長は「ハードの力を引き出すソフトの開発が求められている」と分析する。
 米アップル社や米グーグル社など巨大IT企業が世に送り出したソフトウエアは、新たな価値をつくり、人間の生活を劇的に変えた。その意味で、ものづくりの主役、競争の場はソフトウエアに移った、と言える。
 「はるか遠くではなくても、一つ先の未来を変える製品の企画に取り組みたい」。控えめだった小原社長の口ぶりに力がこもった。秘めた強い意志は、社会を動かす力になる。

4カ国語で観光情報などを紹介する案内ロボット

◎日本ビジネスソフト
 佐世保市三川内新町。1983年6月に小原三徳氏が創業した。小原丈治代表取締役社長は2代目。従業員は128人(4月現在)。本社のほか長崎ソリューションセンター、福岡営業所がある。富士ソフトグループ、ジャパネットホールディングス、各医療機関、行政機関など。