わが町の交通弱者にどんな手段が必要? 鶴指眞志さんインタビュー

鶴指眞志さん

 この春まで県立大地域創造学部専任講師だった大阪市立大地域連携センター事業コーディネーターの鶴指眞志さん(交通経済学)に、西海市や過疎地の公共交通対策などについて聞いた。

 ▼西海市の公共交通機関の現状について。
 佐世保港-大島・馬込港の船便が通勤、通学手段として利用されているのは興味深い。市全体で見れば、通学、通勤、通院、買い物など、長崎、佐世保方面に通う市民も多い。公共交通では乗り換えが必要な地域もあり、自家用車がなくては不便を感じることもあるだろう。

 ▼過疎地で高齢者の足を確保するには。
 公共交通機関がなければ、高齢者であっても自家用車を使わざるを得ず、免許も返納できない。一方で、公共交通を支える自治体の財源も厳しい。足の確保について、市民が問題意識を持ち、どんな交通手段がわが町に必要なのかを考える必要がある。住民有志やNPO法人が主体となり、自治体がそれを支える「交通手段」の確保は、問題解決の一つの手法になると思う。

 ▼本県全体の公共交通について。
 JR長崎駅前で路線バスや路面電車の往来や乗客の乗り降りを見ると「長崎の公共交通は元気がある」との印象を受ける。長崎市内には斜面地も多く、公共交通機関が利用者の需要に応えているともいえる。九州各県の中で、公共交通の利用率が高いのは、地下鉄や鉄道、バスなどが発達した福岡県がトップ。次に長崎県というデータもある。これは、長崎市と周辺の西彼長与町、時津町、諫早市などのベッドタウンや、県北の主要都市である佐世保市が、県全体を押し上げているため。人口減が進む半島部や離島が抱える公共交通維持の問題は、下位にある他県とさほど変わらない。

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