歩くことによる健康効果に着目した独自の施策を展開している神奈川県大和市は、歩行姿勢を手軽に確認できる測定システムを導入する。3Dセンサーに向かって歩くだけで、「歩行年齢」などが表示される仕組みだ。市は正しい歩き方を促し、より健康的な生活に結び付けたいとしている。大和スポーツセンターで23日に開催するスポーツフェスタで初披露し、利用を呼び掛けていく。
市が導入する「歩行姿勢測定システム」は、NECとスポーツ用品大手のアシックスが2017年に共同開発した。
市健康づくり推進課によると、従来の測定機器に見られる体に多数のマーカーを装着する必要はなく、約6メートル先に設置した3Dセンサーに向かって歩けば簡単に測定することができる。
センサーに接続されたパソコンが「歩行速度」「体の揺れ」「腕振り」「足の運び」など6項目を5段階で評価。数値化された評価から「速度年齢」「姿勢年齢」「バランス年齢」を算出し、歩行年齢を推定する。利用者にその場で印字した測定表を渡し、歩行姿勢の改善などに役立ててもらう。
機器類は軽量で持ち運びが可能。同課は市文化複合施設「シリウス」内にある健康度見える化コーナーや、各種イベント会場に持ち込み、測定会を随時開催して健康ウオーキングの普及を目指す。
導入前の5月30日には、保健師らを対象に市保健福祉センター(同市鶴間)で説明会が行われた。開発したNECの担当者らは「初めて体験する人は結果を気にして速足になりがちだが、普段通りに歩くよう指導して」などと測定上の注意点を挙げた。
市は18年10月、歩く健康づくり推進条例を施行。正しい歩き方を教えるセミナーや、チームで1カ月間の総歩数を競う大会を開催するなど、ウオーキングによる健康維持の啓発に力を入れてきた。
また、環境整備として18年度からは歩道沿いに目的地までの距離や歩数、消費カロリーを明記した「ウオーキングサイン」の設置を開始した。
同課の担当者は「腕の振りなど、自分では気が付きにくい歩行姿勢を簡単にチェックできる。測定時間も1分とかからない。健康効果を上げるため、定期的に測定することで改善度も高まり、運動の継続につながる」と説明している。