「いだてん」人見絹枝役に演技初挑戦のダンサー・菅原小春抜てきの舞台裏

NHK大河ドラマ「いだてん~東京オリムピック噺(ばなし)~」(日曜午後8:00)で、ダンサーの菅原小春が日本人女性初の五輪選手・人見絹枝役を演じている。菅原は今作が演技初挑戦だが、ドラマの演出を担当する同作の一木正恵氏は「千載一遇のチャンスが訪れていると確信し、猛烈にオファーしました」と異例の抜てきの舞台裏を明かす。

ドラマは宮藤官九郎氏の脚本で、“日本で初めてオリンピックに参加した男”金栗四三(中村勘九郎)と“日本にオリンピックを呼んだ男”田畑政治(阿部サダヲ)の2人を軸に半世紀にわたる日本人とオリンピックの歴史を描くもの。金栗四三編の後半は、ベルリン五輪出場を断たれた四三が箱根駅伝の創設や女子体育の普及にまい進する姿が描かれる。

菅原は世界的なダンサーとして知られ、昨年の「紅白歌合戦」では米津玄師の歌唱中にダンスを披露したことも話題になった。6月9日放送の第22回から人見役で登場し、岡山の女学校で始めたテニスで圧倒的な強さを誇り、後に日本人女性初の五輪選手としてアムステルダム五輪に出場し、800mで銀メダルを獲得することになる役どころ。

演出の一木氏は「人見絹枝役を探すにあたり、三つのことを強く意識していました。まずはとんでもないポテンシャルを持ちながら、文学的で女性的な二面性。次に国内でのコンプレックスが、世界では称賛に変わる。これを体現できる体格と筋肉を持つこと。最後に女性が夢を託したスター、アイドルであることができること」が人見役の条件だったことを明かし、「この三つを併せ持つ人物は役者に限らない。世界的な視野があること、圧倒的な存在感があること、なおかつ女性的であることが必須だと考えていました。私の中ではかなり早い段階から菅原小春さんが浮かんでいましたが、難しいだろうと思っていました」と振り返る。

しかし、「そんな時、菅原さんが竹原ピストルさんと対談し、役者ではない人が演技する素晴らしさを指摘していた記事を読んで、来た!と思いました。これはやるかもしれないと」と菅原の対談記事を読んだことがきっかけで熱烈なオファーを出し、出演が決まったという。6月9日放送の初登場回では、高い身体能力を持ちながら、周囲の女子スポーツに対する評価に苦しむ人見役をみずみずしく演じた菅原。今後、“役者”としてどのような芝居を見せてくれるのか注目だ。

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