6月11日付

 この時期、さまざまな団体の総会にお邪魔する機会がある。代表者のあいさつで耳にするのが「人手不足」で、言葉の端々から将来への不安を感じる。地域経済の現場では実感で捉えているから、言葉の一つ一つが重い。先週の宮崎政経懇話会県南地区例会では、明治大特任教授の金子隆一さんから、人口減少社会の実相が数字を基に示された。日本の高齢化はフランスの数倍の早さで進み、21世紀を通して人口減少ペースと高齢化がほぼ世界一の状態が続くという。数字での予測も、これまた重い。金子さんが「歴史的大転換」とも指摘する潮流に翻弄(ほんろう)されるのか、うまく付き合っていくのか。「実感」と「数字」から生まれる危機感のその先の、議論や行動につながっていくといい。

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