元巨人外野手が社会人名門で再出発 心に残る川相元2軍監督の言葉

巨人を戦力外となりJX-ENEOSでプレーを続ける青山誠【写真:編集部】

2014年巨人育成1位入団 17年支配下登録も昨年、戦力外通告。JX-ENEOSへ加入

 新天地で一心不乱にバットを振っていた。昨季まで巨人のユニホームを着ていた27歳の青山誠外野手は、社会人野球の名門・JX-ENEOSで野球を続けていた。戦力外通告を受けた後、トライアウトを受けたが、NPB球団から声はかからなかった。3軍で1番や4番で結果を残し、這い上がり、2017年シーズン途中に育成から支配下選手登録になった。しかし、プロ5年間で1軍出場はなし。まだ自分の中で、完全燃焼したとは言い難かった。

「正直、野球はここまでなのかな、と思いました」

 諦めかけたとき、「熱い思いをもう一度、野球にぶつけてほしい」と今のチームのスタッフから電話があった

 青山は気迫あふれるプレースタイル。むき出しにする闘志が持ち味だった。ファームの試合では初球からフルスイングで本塁打を放つこともあった。塁に出れば大きなストライドで盗塁や果敢に次の塁を狙った。スケールの大きさを感じずにはいられなかった。時に熱くなることもあれば、その反面、気持ちが沈むこともあった。

「また、ありがたいことにお誘いをいただいて、もう1回野球に取り組んでいきたいと思いました。プロ野球で結果が出ず、『完全燃焼できたのか?』と(スタッフから)聞かれて、自問自答しました。チームは変わるけど、ここで完全燃焼すればいいんじゃないかと思いました」

 今は、チームでクリーンアップを任され、JABA東北大会や都市対抗野球予選に出場した。

 青山はこのJX-ENEOSのグラウンドで燃え尽きようとしている。再びNPBの舞台へ戻るという思いはなかった。

NPB復帰は考えていない JX-ENEOSにすべてを捧げる

「ENEOSにすべてを捧げようと思っています。若い選手に自分が巨人見てきた5年間を伝えるのも役目かもしれませんが、僕はコーチではないので…多少は伝えることもありますが、自分から何かを感じてくれたらというスタンスです。まずは、自分の結果を出すことを前提にやっています」

 巨人のファームに居た頃、3軍でも2軍でも監督として指導を受けた川相昌弘氏の教えを今も守って、練習に取り組んでいるという。

「ダメだったときでも辛抱強く、継続していく力が大切だ、と教わりました。良い時は、何で良かったのかという分析する力も必要とも…。日々、考えながらやることなど、一から教えてもらいました。僕は悪い時、気持ちにムラが出ていました。プロ野球でも社会人野球でもそれは通じていると思います」

 都市対抗予選は短期決戦、トーナメントで戦う。リーグ戦のプロ野球とは違うため、難しさも感じている。野球への熱い思いを持ちながらも、川相元2軍監督から習った我慢強さ、冷静さも持ち合わせている。

「短期決戦で結果を出さないとならないですから、そのプレッシャーは計り知れないです。なので、日頃の練習から今まで以上に“やりきった”と思えるくらい、やっていかないといけないです。プロだったら、今日ダメでも明日、明日ダメだったら、あさってという風になりますが、社会人だったら、調子がよくても結果が出なかったら評価されません」

 今回、JX-ENEOSは第90回都市対抗野球大会西関東予選で敗退してしまった。だが、情熱を持ち続ける限り、青山は野球と向き合っていく。(楢崎豊 / Yutaka Narasaki)

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