子どもへの薬物防止策 SNS対策で後手 学校の枠を超えた対応が必要

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事件を受けて開かれた県立学校緊急校長研修会で薬物乱用防止の取り組みを確認する学校長ら=7日、那覇市・青年会館

■大麻汚染 10代に広がる薬物(下)

 「一生懸命指導してきたが生徒によっては十分理解してもらえなかった」。6日、事件を受けて緊急記者会見を開いた平敷昭人県教育長の言葉には、指導が行き届かなかったことへの悔しさが表れていた。

 県教育委員会は過去の高校生の薬物事件を踏まえ、学校に「薬物緊急対応マニュアル」を配布。授業や学級活動、昨年度は県立高校の9割が専門家を招いた薬物乱用防止教室を開いて、危険性を訴えてきた。平敷教育長は「再三再四指導してきた」と強調する一方、「ネット環境に対応した教育だったのか検証する必要がある」とも述べた。

 今回の事件では会員制交流サイト(SNS)でのやりとりで大麻が広がった。しかし、マニュアルは学校で薬物や薬物乱用者を発見したり相談を受けたりした際の対応が主だ。同じく県教委の「ネット被害防止ガイドライン」も、誹謗(ひぼう)中傷や詐欺などを防ぐ内容で、SNSと薬物の問題に対応できていないのが現状だ。

 大麻を使用した子どもから相談を受けたことがある日本こどもみらい支援機構の武藤杜夫代表は、これまでの薬物防止教育を検証する必要性を訴える。「大麻に手を出す子どもたちは、学校の授業に参加しないことが多い。SNSで情報を得ているので、大麻がどれだけ有害かといった情報を、SNSを通して積極的に流さないと効果がない」と説く。

 ネットいじめパトロール隊の高宮城修代表は、「法に触れることと、悪いことをした『レッテル』は拭えないことを知らせる必要がある」と話す。ネット上の情報は「デジタルタトゥー」として残ると指摘し、「実世界では罪を償ったり、免除されたりしても、ネット社会は許さない。それを自覚できるよう伝えながら、薬物でどれだけ人生がめちゃくちゃになるかを教えることが大事ではないか」と提案する。

 県警少年課は「違法薬物の取り締まりと教育は車の両輪」と捉え、これまでの児童・生徒向けの薬物防止講話をPTA総会や職員向けなど大人にも広げ、「大麻」や「SNS」などテーマを絞って危機意識を伝えていく方針だ。

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