中国の眉山で歴史的な村と町の将来を探求

中国の眉山で歴史的な村と町の将来を探求

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【成都(中国)2019年6月6日新華社=共同通信JBN】国連教育科学文化機関(ユネスコ)の後援による歴史的な村と町の将来に関する国際会議が2019年6月10日から12日まで、中国四川省の眉山で開催される。眉山市人民政府によると、参加国の政府当局者、国際機関の代表、世界銀行、世界的に有名な専門家や大学を含む国内外のゲスト約180人が同イベントに出席する。

この会議は世界的な都市化を背景に、世界中の実例や将来の構想を共有することで、小規模な村と大都市との関係を改善し、それによって確実、寛容、持続可能な方法での柔軟な開発の実現を目指す。

なぜ、ユネスコは中国西部のこの都市を選んだのか。それは、眉山が成都に最も近い地級市であるからだ。眉山は双流国際空港に隣接し、便利な輸送環境と優れた立地性を誇っている。眉山は、国家レベルの天府新区に欠くことのできない部分として、中国西部における開放、大きな活力の投資、潜在力のあるビジネスチャンスのためのハイランドになりつつある。世界トップ500社の眉山への進出企業数は成都に次いで2番目に多い。

四川省が世界でも重要な観光地である一方、眉山は「文化+景観+食」の魅力によって同省の中で際立っている。眉山は早くも2016年には太平洋アジア観光協会によりアジア太平洋地域の(セカンド/サードティアの都市の中で)トップの観光地として評価された。

5000年以上の文明史、そして県として約2300年の歴史を持つ眉山は、古代中国の文豪、蘇軾の古里である。また、中国史上、最長寿の人が生活し、素晴らしい竹編み技術が発明され、100以上の「無形文化遺産」が継承された場所でもある。他に類のない自然条件と奥深い人間主義の歴史を持つ眉山には、伝統的な人間主義の特徴と優れた自然環境を維持し、東坡文化、長寿文化、道教文化、仏教文化、竹文化、水文化および食文化を備えている多くの町が存在する。眉山では現在、国家の伝統的村落として5つの村が、県の伝統的村落として14の村が指定されている。

これまで何年にもわたり、現地政府と人々は農村開発を促進する上で豊富な体験を積み重ねてきた。それは町と村の伝統的な特色を良好に保存してきただけでなく、現地住民の福利を向上させてきた。これがユネスコから支持された大きな理由の1つである。

2018年にMost beautiful Ancient Village in China(中国で最も美しい古代村落)に選ばれたHappy Ancient Village(幸福な古代村落)は、眉山における伝統的村落の保護と開発の特別な例である。1981年に上映された中国初の恋愛映画Corner beyond Reach of Loveの屋外シーンとして使われたHappy Ancient Villageは、清王朝のTea Horse Ancient Road(茶馬古道)、Salt Iron Ancient Road(塩と鉄の古道)、石橋といった歴史的遺跡で知られている。この村は四川省で良好に保存されている数少ない古代村落の1つとして、伝統的な基盤の上に現代的な開発を行ったことで、四川省で最も人気のある観光地になった。この村は中国の「Specialty for a Village(村落のスペシャルティー)」のモデル村落、中国のエコロジーと文化で有名な村落、そして中国の農村観光で有名なモデル村落に認定された。

保護開発の一方で、伝統的な職人技術の継承と発展もまた、眉山の古代の町の再生へのカギである。眉山の偉大な伝統の1つであるQingshen Bamboo Weaving Products(青神県竹編み製品)は、中国のNational Geographical Indication Products(国家地理的表示製品)の評価を受けた。2008年にさかのぼって、高級ブランドのエルメスはこの技術で協働し、ファッションの一部に取り入れている。Qingshen Bamboo Weavingは眉山の基幹産業になり、1万人以上の現地農民に仕事を提供している。

約800年前に建設された洪雅県のLiujiang Ancient Town(柳江古都)は、牛のランタン、竜のランタン、ライオンのランタン、そしてZeng’s Gardenなどの文化遺跡といった無形文化遺産を特色としている。この町は「リラックスしてのんびりした生活を体験する中国の町」としての評価を受け、高床式建築の古代建築様式、古代料理文化の9椀の食事、そして多彩な伝統的生活様式を保持している。そこは一方で伝統的な生活パターンを完全に維持しながら、他方では過去と現在を組み合わせた人間主義的な風景が形成されている。

伝統的村落は、優れた伝統文化のルーツであり、生きた文化および自然遺産である。Minjiang Ancient Waterway(岷江古代水路)の古いドックとして、Hanyang Ancient Town(漢陽古代タウン)は、比較的良く保存された歴史的な街路と独自の風習が自慢である。Foguang TempleとHuoshen Templeといった文化遺跡は現在でも利用できる。個人が所有するHanyang Library(漢陽図書館)は優美な設計で知られている。この図書館と郵便局、総合文化ステーションは完ぺきに古都と一体化している。

現在、世界の都市化率は55%で、この数字は毎年上昇している。都市開発は都市と農村の住民の生活様式に多大な影響を与えている。中国は計5億7800万人という世界第2位の農村人口を抱えているため、中国政府は歴史的な町の開発の道筋を探る上で豊富な経験を蓄積してきた。眉山はそれに最もうまく対応している都市である。

ソース:The People's Government of Meishan