【世界から】「ちぐはぐ」に進む韓国のエコ化

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スーパーの売り場に掲げてある案内。既に包装されている商品にビニール袋を使用することは控えるように呼びかけている=原美和子撮影

 世界中で生産量が増加し続けているプラスチック。これに伴って、排出されるプラスチック廃棄物の量も急増している。そして、最近になって特に注目されているのがマイクロプラスチックだ。

 マイクロプラスチックとは、ごみなどとして海などに流れ込んだ包装容器や電化製品などのプラスチック製品が、紫外線や波の力で大きさ5ミリ以下に分解された物を指す。有害な化学物質を吸着する性質があり、魚や海鳥などが謝って飲み込んだり絡まったりする被害が相次いでいるほか、日本を含む8カ国の人の便からも見つかるなど人体への影響も懸念されている。

 世界各国で対策が講じられる中、韓国政府もプラスチックの削減に積極的な姿勢を見せており、同国内でも昨年より削減に向けたさまざまな動きが盛んに導入されている。

▼レジ袋に加え、飲食店内でのプラスチック容器も禁止

 「2020年までに全世界の店舗でプラスチックストローを廃止する」。18年7月、米コーヒー大手のスターバックスがこのような発表をした。これに素早く反応したのが韓国国内のスターバックス。発表直後の同年8月より一部店舗で紙ストローを導入すると、国内全店舗でも順次切り替えを進めた。

 この取り組みに対しては歓迎する声が上がる一方で、「すぐにストローが柔らかくなってしまい早く飲まなくてはいけない」や「違和感がある」といった声も多く聞かれるなど賛否が分かれた。とはいえ、この動きは広まる。スターバックスに加えてコーヒーなどの飲料を提供するカフェやファストフード店でも店内における飲食についてはプラスチック容器で提供することを禁止するようになったのだ。

 日本では6月3日に、スーパーやコンビニなどで配布しているレジ袋の無償配布を禁じる新たな法令を東京五輪が開催される20年夏までに制定する意向を原田義昭環境相が表明。国民からは賛否を含んださまざまな反応が起こっている。

 韓国における動きはどうだろう。これまではスーパーにおいてレジ袋が必要なときには50ウォン(日本円で約5円)程度で購入しなければならなかったが、今年4月からは店の規模に関わらず全面的に禁止。守らない店には最低で300万ウォン(約30万円)の罰金が科せられることになった。やむを得ない場合を想定して、ゴミ袋としても活用できるポリ袋が売られている。このレジ袋全面禁止と前後して一気に需要が高まったのが「エコバッグ」だ。各スーパーもオリジナルのエコバッグを相次いで発売。女性や若年層にも受けが良いデザインのものが多く、ちょっとしたブームとなっている。

各スーパーで販売されているオリジナルのエコバッグ。レジ袋の全面禁止に伴って注目を集めている=原美和子撮影

 スーパーにおけるレジ袋の禁止についてはこれまでのところ大きな混乱などは起こっていない。今後は、スーパーだけでなくベーカリーやコンビニといった小売店全般でレジ袋の有料化や廃止を段階的に行っていく予定だ。

 全面的に禁止ではないものの、肉や魚、青果といった生鮮食品を詰めるためのポリ袋もレジ袋と併せて控える呼びかけが行われるようになった。レジ袋の禁止がスタートした今年4月当初は、これらポリ袋を店頭から全面撤去する店や宅配サービスでもポリ袋の使用をやめるスーパーなどが現れた。

 過剰反応とも言えるこれらの動きに関しては、消費者の間からも「さすがにやり過ぎでは」と戸惑いや批判の声が上がった。中でも大きく反発したのが〝一番の顧客である〟主婦層だったため、各店も「必要以上の利用の自粛」の呼びかけを控えたほか、宅配については簡易包装などで対応するようになった。この、「規制が始まると過度に制限や禁止を行う」→「不満の声が上がる」→「規制を緩める」といった流れはいかにも韓国らしいと言える。

▼積極的なプラ削減の裏で

 日本と比較するとプラスチックの削減などを積極的に行い、浸透している印象を受ける韓国であるが、実は「エコ化が進んでいる」とは言い難い。最も分かりやすいのが、韓国で年に2回の名節(旧盆・旧正月)だ。贈答品の過度な包装に加え、廃棄される食べ物が大量に発生する「フードロス」の問題などが長く指摘され続けているが改善の兆しはいまだ見られない。

 このような「いびつさ」を可能な限り早く解消する方策を取り入れながら、消費行動に関わるすべての面でバランス良くエコ化を進めていくことが韓国における今後の課題と言える。(釜山在住ジャーナリスト・原美和子=共同通信特約)