破産ではない被災ローン減免制度

生活再建への「正しい」知識の備え(12)

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災害時のローン減免についてはガイドラインがあります

災害発生直後から、被災者にとって大きな負担となるのが住宅ローンや事業ローンの支払いです。災害後の出費増や収入減は、ローンの支払負担をより一層重いものとします。特に、自宅建物が損壊した被災者は、担保となる財産も大幅に毀損されてしまっていますので、仮に売却して返済をしようにも、残った土地だけでは住宅ローン残金を支払えない場合もあります。

自然災害で住宅が全壊したり、収入がなくなったりしても、今までの住宅ローンが自動的に支払い免除になることはありません。「住宅ローンが支払えなくなったが、破産しか手がないのか。破産すると新たな借り入れができず、新しい家を建てることができないので途方に暮れている」「個人事業主として農業をしており、ビニールハウスやトラクターのローンがまだ2000万円以上残っている。津波での農地が壊滅し、収入もなくなった。今後再建したいがローンが足かせになっている。もちろん再び借り入れを行いたいので破産手続は選択できない」(※いずれもモデルケース)という声を、東日本大震災直後や熊本地震直後の相談活動で弁護士らは数多く聞いてきました。

このようなときに、まずもって利用を検討しなければならないのが『自然災害被災者債務整理ガイドライン』です。『自然災害債務整理ガイドライン』とも記載されることがあります。弁護士などがよく使っている通称は『被災ローン減免制度』です。

自然災害被災者債務整理ガイドラインは、大規模な自然災害(災害救助法適用災害)があった際に、その災害の影響によってそれまで抱えていた住宅ローン、自動車ローン、事業性ローンなどを返済することができないか、近い将来返済できなくなることが確実と見込まれる個人と個人事業主が利用できます。法律ではありませんが、東日本大震災をきっかけに、あらゆる関係者が協力して作り上げたガイドラインであり、金融機関もこのガイドラインを周知して債務者を支援をすることが求められているものです。当該自然災害が原因であれば、住所地や事業所の所在地は、どこにあっても利用できますし、利用できない金融機関はありません。ただし、年収がある程度高い場合や、資産が多く残っておりローンを十分支払えるような場合は利用できないなど一定の条件があります。

この制度の最大の特徴は、破産手続のように信用情報(ブラックリスト)登録がなく、原則連帯保証人にも請求がなされないというメリットがあることです。次回、詳しく解説します。

(了)