劇団☆新感線、博多座初見参! 9月公演は痛快爽快人情時代劇「けむりの軍団」

福岡・博多座の9月公演「2019年劇団☆新感線39興行・夏秋公演 いのうえ歌舞伎《亞》alternative『けむりの軍団』」(9月6~23日)に先立ち、5月31日に記者会見が行われた。会見には劇団☆新感線の主宰であり演出を務めるいのうえひでのり、そして同劇団の看板役者である古田新太、今回で同劇団への参加が2度目となる須賀健太の3人が登壇。公演への意気込みや見どころを語った。

久しぶりの福岡での公演は、初の博多座

いのうえ「フルスペックの“いのうえ歌舞伎”(※いのうえが演出を手掛ける歴史ものや神話ものを題材にした舞台)だと、舞台装置が大きいこともあり、採算の面からもなかなか福岡には来られませんでした。そういう面で、今回の博多座はチャレンジですね。ただ最近は九州新幹線の開通とかで他県からも来やすくなっています。福岡に限らず、九州中から来ていただけるのでは?という期待を込めて、ロングラン公演に挑戦してみようとなりました」

古田「久しぶりの博多ですし、初めての博多座は本当に楽しみです。ただ僕らには箱がでかすぎるなぁーと(笑)。チャラチャラした劇団なので(笑)。でも、大勢の方に見ていただけるよう頑張ります!」

──九州のお客さんの印象は?

須賀「すごく温かいと思います。笑いや拍手など、すごくしっかりリアクションが来るので、舞台に立たせていただいていても、すごく楽しいという印象がありますね」

いのうえ 「九州のお客さんはノリがいいので、公演もお客さんにのせられていい感じに変化するんだろうなと思いますね」

今年で旗揚げ39周年の劇団☆新感線。劇団の人気を長く保つ魅力は“変わらないこと”!?

古田「ずっとやってきて思うのは『何も変わってない』ってことですね。やりたいことが変わってなくて、未だに完成されてないんです。普通の劇団は完成されると、だいたい解散ってことが多いんですけど。われわれは非常に幸せなカンパニーだと思います。そして僕も辞めてないってことは、この集団で僕のしたいことがまだ達成されてないということなんでしょうね」

──ここ十数年は客演が増えてきているように感じますが。

いのうえ「作品によっては、中心人物がいきのいい役っていうものが多くて。劇団員の年齢考えると…きつい(笑)。そこで若い俳優さんを置いて、脇を劇団員で固めるっていう今のスタイルができました」

古田「僕は、座長というより番頭ですね(笑)。来てくれた子たちに『ようこそいらっしゃいました~』っていう感じ。で、そこに仲居頭の高田聖子さんがいて…(笑)。みんな好きなんですよ、そういうの」

──そんな中、今回は須賀さんや清野菜名さんらとの共演ということですね。

須賀「僕は新感線に憧れていたので、その場に立てるということがすごく幸せなことだと感じています。稽古場から何から、劇団新感線にしかない雰囲気だし、座組だし。ここに来ないと学べないことがたくさんありますね」

いのうえ「ここ2年で“劇団新感線TRIBE”(準劇団員)が増えたんです。その若手の中で、この作品のキャラクターにぴったりだったのが、2人で。勘というか…巡り合わせみたいなもんだと思います」

古田「清野も健太もかわいいんですよ。2人ともチャーミングで、お芝居も素直で。その2人が彼らだけになるシーンが楽しくて。ほほ笑ましくて仕方がないです(笑)」

今回の舞台はガッツリ“いのうえ歌舞伎”!

いのうえ「今回の舞台は、 “黒澤映画”のオマージュみたいな感じです。脚本の倉持(裕)くんに『隠し砦の三悪人』に『走れメロス』が組み込まれているようなやつってオーダーしたら、本当にその通りのものが上がってきました(笑)。そのままなんですけど、これがよくできていて面白いんですよ。プレッシャー感じてます」

──古田さんと池田成志さんや早乙女太一さんとの絡みもあるんですよね。

古田「池田成志さんも早乙女太一さんも大嫌いな俳優さんなので、あまり関わりたくないですね(笑)。倉持くんの嫌がらせとしか思えません(笑)。…なので、頑張ります(笑)」

須賀「僕はその掛け合いやアクションを早く見たいなと思っています」

──古田さんと須賀さんは脚本を読んで、ご自身の役どころについてどのような感想をもたれましたか?

古田「倉持くんなんで、セリフのやりとりが面白いんですよ。これ落語でやりゃいいのにって思いましたね。彼の僕に対するイメージなんでしょうけど、ペラペラしゃべるんです。僕セリフは苦手なんで、勘弁してくれよ~と思いました(笑)」

須賀「僕の雨森源七という役は、やる気だけはあって真っすぐで一生懸命なんです。でも、空回りキャラですごく弱いんですよ(笑)。そういう風に見えてるんですかね(笑)。ただ台本は、自分が出るってこと抜きにして客観的に見ても面白かったです」

──タイトルの「けむりの軍団」にこめられたメッセージは?

いのうえ「それを言うとネタバレになっちゃうんです(笑)。モヤっと想像していただいていた方がいいなって思います」

古田「本当に“まんま”なんです。内容に関しては聞かないでください(笑)」

今回の作品の舞台は、戦国時代。古田演じる浪人・真中十兵衛(まなかじゅうべえ)が、須賀演じる家臣・雨森源七(あまもりげんしち)らと共に、大名家を逃げ出した清野演じる紗々姫(ささひめ)を守り、敵と戦っていく…というのが大筋のストーリー。その物語に、ずる賢い謎の浪人を演じる池田や、姫の逃亡を阻む口下手の侍大将を演じる早乙女らが加わり、意外な展開へと進む。劇団☆新感線ならではのオモシロ要素はもちろん、ハイレベルなアクションなど、見どころは盛りだくさんのようだ。

また今回は劇団旗揚げ39周年の“39 サンキュー興行”と銘打った公演でもある。倉持作品ならではの会話の妙に、ダイナミックで緻密な、いのうえの演出が加わり、さらに年齢相応の渋みを増した一座の徹底したエンターテインメント。観劇後の爽快感は間違いなしだ。ぜひ劇場に足を運んでほしい。

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