19歳青年を恐喝・暴行・殺害の4人組、未成年理由に逮捕されず 「あまりにひどい」ロ住民ら厳罰求め署名集め

By 太田清

電子署名を求めるサイトのページ

 ロシアで19歳の青年から金を脅し取ろうとして拒否されたことから暴行、殺害した4人の男が未成年であることなどを理由に、逮捕もされず自由にいることに対し、地元住民が「あまりにひどい」と憤慨、当局に対し厳罰を求める署名活動などを始めた。ロシア通信などが12日までに伝えた。 

 事件は1月26日夜、東シベリア・イルクーツク市ゼリョンヌイ地区郊外で起きた。地域の同じ学校に通っていた16~17歳の4人が、ニコライ・メシェリャコフさんを呼び出し5000ルーブル(約8400円)を要求。メシェリャコフさんが拒否したことから人けのない林に連れ込み、棒で殴ったり蹴ったりして暴行。その様子を動画撮影した後、極寒の中に放置した疑いが持たれている。通行人が瀕死のメシェリャコフさんを見つけ、病院に搬送されたが死亡した。4人はその後、仲間らに動画を見せて自分たちの行為を自慢していたという。 

 4人はこれまでも同級生らに恐喝を繰り返していたという。4人のうち1人は教師にボールペンを突き刺し一時、退学処分になった経歴もあった。

イルクーツク

 

 警察は傷害致死容疑で捜査を始めたが、4人は逮捕されることなく、うち2人は通学以外の自宅軟禁措置、1人は逃走しないとの誓約の下、自宅にいることを許され、残る一人は事件への関与は認められず、単なる「証人」との立場で何の制約もなく暮らしている。軟禁中の2人も条件を破り外出しているのが地元住民らに目撃された。 

 地元の捜査委員会は、事件は子ども同士の「けんか」の結果と見なしており、裁判所は4人が重大犯罪に関して初犯で、未成年であることも考慮して逮捕は命じていない。 

 4人は学校にも通常どおり通っているため、一部生徒らは抗議のため集団での登校拒否を計画。地元住民は警察に対し、4人を逮捕・収監すべきだと要請したほか、500人以上が厳罰を求め署名。イルクーツク市長らに対する電子署名集めも始まった。 

 メシェリャコフさんは早くに父親をがんで失い、母親はアルコール依存症。徴兵による軍隊での勤務を希望していたが身体検査で不採用となり、広告を掲示板に貼るアルバイトなどをして生計を立てていた。 (共同通信=太田清)

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