マニアックすぎる!? 『前室』の使いやすさで登山テントを比べてみました! 山でテント泊をするなら、できるだけ快適に過ごしたいもの。そこで今回は、山岳テントの快適性を左右するポイントの1つである『前室』に注目。とことん“前室の広さ”のみに着目し、おすすめの5モデルをご紹介します。実際に愛用している方のレビューも掲載。「テントは前室がないといや!」「広い前室のテントを探している!」と、前室にこだわりたい人必見です。前室重視のテントの選び方は、意外と正解だった!?

テント選びで意外と重要!『前室』の大きさに注目!

いよいよ山でのテント泊が気持ちの良い季節。せっかくなら、お気に入りのテントでできるだけ快適に過ごしたいですよね。テントの快適性を決めるポイントには、サイズや通気性などいろいろありますが、『前室』の広さも重要なポイント。「絶対に前室が広いテントがいい!」と、こだわりのある方も多いのでは? 本記事では前室の広さに絞って、おすすめテントを“マニアック”にご紹介します。

前室が広いと、テント泊がより快適に!

実際にテント泊をしてみると「テントはただ休めればいい」というわけにはいかない事がよくわかります。

まず、登山靴やトレッキングポールなど濡れたり汚れたりしたものを置く場所が必要、これらは室内には入れたくないですよね。

また、雨の日、テントに入るときのキャノピ(ひさし)代わりになったり、テントの中にいながら、火を使う調理スペースとしても使え、天候が悪いときは特に助かります。つまり、前室が広ければ快適性が格段にアップ!

前室の広さなら、“長辺入口”のテントが優勢!

前述のようにテントの快適性を左右する前室ですが、前室の広さは「長辺が入り口のテント」が断然優勢。

テントの入り口は短辺側・長辺側の2種類ですが、上の図でわかる通り一目瞭然、前室の高さと奥行きが同じならば、面積は倍近く違います。高さがあると、より広々とした空間に。前室の快適性は面積に左右されるので、広いに越したことはありません。

では、実際に前室の使い勝手の評価が高いテントはどんなものがあるのでしょうか。特におすすめの5モデルをご紹介。今回は、図形を目安に各モデルの2人用テントのスペックを比較してみたいと思います。愛用している方のリアルな声も必見です!

<finetrack> カミナドーム2

最近注目の国内メーカー<ファイントラック>の カミナドーム。日本の山岳環境に合うように設計されたこのテントは、抜群の軽量性でも高評価です。前室はなくなりますが、オプションのスノーフライ・内張りを使えば冬季も対応。

前室の広さをチェック!

前室は、長辺片側に位置します。60cmの奥行と105cmの高さで2人分の登山靴やクッカーなどを置いても問題ない広さです。

前室のファスナーは上からも下からも開けられるので両側のフラップを張ったまま出入り可能。雨天時でも前室に置いている物が濡れにくいことが特長です。

【ユーザーレビュー】前室の使いやすさは?

急に槍ヶ岳へ登りたくなり、「どうせならプライベートな空間があるテント泊で!」と思ったのが購入のきっかけ。

長辺側に出入口があり、前室が大きく、かつ混雑時にテン場で迷子にならないであろうカミナドーム2に。長衛小屋で大雨だった時、靴やレインウェアを前室に置いても調理できたのはかなりありがたかったです。

前室を開閉するファスナーが噛みやすいのはマイナスかな。いつか長男と2人でアルプスの稜線に張るのが夢です。by ikuzo_wasabidairaさん

<NEMO> アトム2P

エントリーモデルとしても人気のアトム2P。岩場など過酷な状況の場所で使用にも耐えられる75D(デニール)のフロア素材を使用。各ベンチレーション(通気口)を空けておくことができるベントストップが付いているので室内も快適です。
※デニール…繊維の太さの単位。一般的に太いほど耐久性が高い。

前室の広さをチェック!

前室は長辺片側に位置。フライシートをフロント3カ所で止めるため、前室フロアは大きな台形型に。奥行は60cmですが、高さが112cmと高いため空間がある分広く感じます。

インナーテントの出入り口が大きく開き、前室とのアクセスがいいのが特長。2人で並んで食事するのにも困りません。

【ユーザーレビュー】前室の使いやすさは?

①1.58kgとにかく軽い
②おまけに2人用サイズで広々
③前室も大型ザック置けて広々
④中央をチョイ開きでき、雨が降っても開けたままであまり振り込まず快適
⑤何と言っても、STYLE抜群
by reirei1026さん

<PROMONTE> VL-26TA

信頼と実績の国内老舗メーカー<プロモンテ>。定番のVL-26に限定カラーの2019年バージョンが登場しました。今でこそ吊り下げ式は増えましたが、VL-26は当初から完全吊り下げ型。設営性には定評があります。

VL-26は前室が1つなのに対し、限定モデルのVL-26TAは前室が両側についています。さらに、長辺が通常のVL-26よりも20cm長いロングタイプ!

前室の広さをチェック!

出入り口は長辺両側。両側が前室なので空間も倍ということです。この面積の前室が2か所あれば、2人分の荷物を楽に置くことができますね。

【ユーザーレビュー】前室の使いやすさは?

長辺に入り口があるので、出入りや荷物の出し入れがスムーズ。その分、前室も広いです。通常は前室に靴や水などを置いていますが、天候が悪い時は前室で調理もできます。(わたしはテントの中でガスを使うのが怖いので、これができるのはとてもありがたい!)

高さもあるので、ある程度の調理器具なら問題なく使えます。前室なら少し傾いてお湯が溢れてしまった…なんていう時も問題なし。しかも、前室で調理していても、しっかりペグダウンしてあれば外気があまり入ってくることもなく寒くありません。

また、Wウォールなのですが、内側のシートは網戸のようにもできるので、中の空気がこもってしまった時は、そこだけ開ければ換気にもなります。

おまけで…わたしは、前室から顔を出して星を見るのが好きです(笑)by ng_a777さん

<MSR> ハバハバ NX

個性的なデザインの<MSR>。このハバハバNXは、スタイリッシュで目立つだけではなく、弾力性があるポールによる耐風性や、吊り下げ式による設営性で優れています。フレーム構造は幾何学構造なのでサイドウォールが立ち上がり、居住性も高くなっています。

前室面瀬をチェック!

前室はこのクラスのテントとしては長い76cmの奥行なので、夜露に濡れたフライシートの内側に登山靴が触れて濡れていたという事も少なくなります。しかも、両側出入り口にによる2か所の前室なのでかなり広く使えます。

【ユーザーレビュー】前室の使いやすさは?

2人用なのでソロの時は荷物は中に置いて、前室を広く使えるのが魅力。フライを全部開けるのと、半分開けるのでも気分が変わるので好きです。

ハバハバは前室が前後に2つあるタイプなので、2人で泊まる時などもそれぞれのザックを外に置いたりできて、テントを2つ持って行くよりも軽量化ができます。ザックとストック、汚れた登山靴などを置いてもまだスペースがあるくらいです。ですので雨が降っても安心できます。

あとこれだけのスペースがあるので雨が降っても前室でクッカーを使って料理したりもできるので重宝しています。

中に小物類を収納するポケットもあるので荷物もまとめられます。

気になるところはフライシートが少し貼りづらいです。あと強風時に使うロープの数が多いので簡単なテントより少し立てるまでに時間がかかります。

ただハバハバの収納袋は大きく開くタイプなので雑に入れても小さく収納できて使いやすいです。フライだけでも使えるのでフライだけ持って行ってシングルウォールのようにもたまに使います。大自然が感じられて気持ちいいです。

買って良かったテントだと思いますし、もっと軽量化したい方はハバNXを買ってもいいのではないかと思います。 by iboookさん

<Mountain Hardwear> アスペクト2テント

アスペクト2は、インナーの3/4にメッシュを使用しているので通気性抜群な上、天井部分にショートポールを渡しサイドウォールを立たせているので頭上空間が広々です。

前室の広さをチェック!

両側出入口なので前室は2つ。インナーテントを快適にしている天井部分のショートポールがそのまま前室上部に張り出しているため、前室の傾斜が少なく、76cmの面積を最大限に生かす形になり、より快適性が増しています。

【ユーザーレビュー】前室の使いやすさは?

MHWが好きで、初めてのテントを購入しました! アスペクト2は初めての私でも簡単にテントを張ることができて、中もすごく快適な空間でした。

前室も広くてバックパックは外に置く事も可能。また、開けた状態で調理もできて、使い勝手はかなり良い方だと思います。 by taka9885さん

自分の理想にぴったりのテントはどれ?

「前室の面積を数字で見ただけではイマイチぴんとこない!」そんなあなたへ、前室のサイズをほぼ実寸大で作ってみました。

テントのサンプルを一気に見比べられる機会はあまりないので、自宅でテープを貼ってサイズの目安にしてみるのもありなのでは?

スペック一覧

ここまで前室が広いテントを5モデルご紹介しました。

4シーズン対応であればカミナドームだけになりますが、特に前室の広さにこだわるならアトム2P前室が2つほしければVL-26TA、ハバハバNX、そして1番面積が広いアスペクト2テント

前室の広さ以外のポイントとしては、総重量が軽いテントならカミナドームガレ場など地面の状況が悪い場所での使用ならアトム2P強風が予想される尾根でのテント泊ならハバハバNXテント泊での居住性重視であればアスペクト2テントがおすすめ。テント初心者であれば定番中の定番VL-26TAが安心です。

前室が広いテントは、それ以外の性能も◎!

以上、“とことん”前室の広さや快適性にこだわってみました。今回紹介した5モデルの仕様にも注目してみると、前室以外のスペックも高いことがよくわかります。

つまり、前室が広いテントは高スペックテントとも考えられ、前室の広さで選ぶことも理にかなっていると言えるでしょう。前室で選ぶ山岳テント、決して“マニアック”ではないのでは?

相性抜群のテントを見つけて、快適なテント泊を楽しんでくださいね!

© 株式会社スペースキー