【リレー連載】世界のスーパーマーケットをめぐる旅「第18回ニュージーランド Count Down を攻略!<前編>」

(C) shutterstock.com

食のスペシャリストが店内をナビゲート

複雑で難攻不落と思えるような海外の大型スーパーマーケット。その店内を攻略すべく協力してくれるのは、ニュージーランドで活躍する管理栄養士のエイミー・ジャッド (Amy Judd)さん。 食の案内人とも言える存在です。

今回は、ヘルシーを攻略テーマに掲げ、エイミーさんからニュージーランドの食事情と健康的な食材の選び方も教えてもらいました!ヘルシーなニュージーランド土産のヒントをお届け!

訪れたのは、スーパーマーケット「カウントダウン(Count Down)」

ニュージーランド国内にチェーン展開するスーパーマーケット「カウントダウン(Count Down)」は、キウイ(※ニュージーランド人の愛称)なら誰もが知る、とてもポピュラーな大型スーパーマーケット。今回はオークランド市内のマウント・イーデン(Mt Eden)というエリアにある店舗にお邪魔しました。

買い物前にチェック!

さっそく店内を巡りたいところですが、日本とは勝手が違うニュージーランドのスーパマーケット。スムーズに買い物をするために事前に用意しておきたいものがあります。それが、エコバッグとクレジットカード(もしくはデビットカードなど)です。

(C) shutterstock.com

Count Downでは、買い物の際にエコバッグの使用を推進しており、プラスチックバッグ(ビニール袋)がもらえません。エコバッグを持参していない場合は、商品を裸のまま持ち帰るか、エコバッグを購入することになります。また、会計に関しては、 カウントダウン(Count Down)では現金決済は可能なものの、カード決済(暗証番号入力)の方がスムーズです。

さあ、この二点を確認したら、さっそうと店内にGO!

フルーツ&野菜 セクション

まず、店内の入り口付近にあるのがフルーツと野菜のセクション。“美味い・体に良い・安い”の三拍子揃ったもの手に入れたいなら、条件は二つ。『季節のものであること。そして、国産であること』だとエイミーさんは言います。

私たちがスーパーマーケットを訪れたときは、ニュージーランド産のキウイフルーツがこれから旬を迎えるところでした。

ちなみに、ニュージーランドのスーパーマーケットでは、野菜や果物は袋詰めされず売られていることが多いのですが、これは、世界的な問題となっているプラスチックバッグを減らそうというニュージーランド政府の取り組みだそうです。

精肉&総菜 セクション:赤肉

畜産業が盛んなニュージーランド。エイミーさんはニュージーランド産のお肉はとにかく高品質、自信を持っておすすめできると断言!特にニュージーランドの人々は赤肉(牛とラム)をよく食べるのだそう。

また、ニュージーランドの畜産品(酪農品も含む)は、基本的にすべてグラスフェッドなのだとか!

グラスフェッドとは「牧草飼育」のことを意味し、お肉に関して言えば、その良さは、グレインフェッド(穀物飼育)と比べて脂分が少なく、体に良いところ。

パックに入った牛肉もたくさん並ぶ。

『赤肉は、女性に不足しがちな鉄分や亜鉛を多く含んでいることもあり、女性には積極的に摂取して欲しい食材である一方で、発ガン性物質が含まれていることから、少量を味わって食べるのが健康的』ともエイミーさんは話します。

それだけなく、惣菜セクションに並ぶサラミやベーコン、ソーセージ、ハムなどの加工肉も脂分や塩分が高いので、同じく少量主義で!とエイミーさん。

精肉&総菜 セクション:鶏肉

安さが魅力の鶏肉は、『毎晩チキンを食べる』という人もいるほど、現地ではとてもポピュラーな食材です。 その食事情をうかがわせるかのごとく、鶏肉のセクションには鶏肉がびっしり! しかし、ある一角だけ、緑色のパッケージで埋め尽くされています。

じつはこの緑色のパッケージ、フリーレンジと言われる「放し飼い」で育てられた鶏肉。対して、透明なパッケージに入った通常の鶏肉は、ゲージで飼育されたものだそうです。つまり、消費者が鶏肉を購入する際の一つの指標として、フリーレンジか否かが明確にされてあるというわけです。

フリーレンジは飼育に手間がかかるため、少し値段が高めですが、環境面や動物に対しての配慮から、現地ではフリーレンジを選ぶ消費者が増加傾向にあるそうです。

精肉&総菜 セクション:魚介

ニュージーランドのスーパマーケットでは、魚介類は精肉や惣菜セクション、もしくはその付近に置かれていることが多くあります。

そして、ニュージーランドの名物と言えば、なんと言ってもサーモン!

南極に近い、南島で水揚げされる天然のキングサーモンは、極上の旨味を以って日本人の舌を魅了してくれるはず。エイミーさんは、『魚には体に良い脂とされるオメガ3が含まれているので、栄養面からみても◎』と太鼓判!

さらに、サーモンと並んで、現地のスーパーマーケットよく見かけるこちらの貝は、ニュージーランドの名産のムール貝。現地では、マッスルと呼ばれています。

マッスル貝を使った白ワインの酒蒸しはとにかく絶品。現地のレストランでも食べられるので、カフェやバー、レストランに立ち寄った際はメニュー表を要チェック。

また、食いしん坊さんのために一点お伝えしておくと、ニュージーランドの磯辺では、天然のマッスルを見つけることができますが、毒を含んでいることもあるので、潮干狩りは控えたほうが賢明。お腹を壊して楽しい旅行が台無しに!なんてことにならぬようご注意を。

冷蔵 セクション:チーズ

世界屈指の酪農王国・ニュージーランド。国民一人あたりの酪農品の消費量が多く、ゆえに種類も豊富です。

例えば、チーズは「ご褒美チーズ」と「日常チーズ」に分類することができ、幅広いニーズをカバーしています。

ご褒美チーズ。現地では、ホームパーティーや、たまの自分へのご褒美として食べる感覚なのだとか。

エイミーさんは『チーズは食べる頻度にあわせて、商品を選ぶことが大切』だと話します。ご褒美チーズはとても濃厚な味わいでたまに食べるのは良いですが、脂肪分が高いため、日常的に摂取するのであれば低、脂肪で高タンパクな「エダムチーズ」か「カッテージチーズ」がおすすめなのだそう。

ちなみに、ニュージーランド

産エダムチーズは、オークランド空港の免税店でも購入が可能です。

オランダ式の「エダムチーズ」は、さっぱりとした味わい。

ニュージーランドのチーズは、純粋に生乳と食塩のみで作られているものが多く、一食の価値ある食材。ぜひ一度、酪農王国のグラスフェッドチーズをお試しあれ。

冷蔵 セクション:牛乳

現地では、牛乳も消費量の多い酪農品。その商品棚にはたくさんの牛乳が!

どれを選んでいいのか困ってしまいそうですが、基本となる3種類「ブルー」「ライト」「トリム」をおさえておけば、自分のニーズとマッチした牛乳がわかるそうです。

左から「ブルー(ブルートップ)」「ライト(ライトブルー)」「トリム」。

これらは、それぞれに含まれる脂肪分の割合が異なります。

一般的に低脂肪牛乳は大人に良いとされており、3種のなかでは緑色のトリムが最も低脂肪。しかし、12ヶ月〜2歳くらいの赤ちゃんは脂肪分の高いブルー、2歳〜5歳にはライトブルーが良い選択だとエイミーさんは言います。

その他、オーガニックミルクやA2ミルクという先進的な牛乳も同セクション並びます。

オーガニックの牧草を食べて育った乳牛から絞られる「オーガニックミルク」。

A2ミルクは、(牛乳を飲んだ際の)消化障害などが起こりにくいとされる牛乳。世界的にも注目が集まる新たに開発された牛乳で、ニュージーランドでも人気。

さらに、近年では、アーモンドミルク、ソイミルクなどの植物ミルクも成長分野とのことですが、ここには落とし穴が!

アーモンドミルク等を買う場合は、たんぱく質やカルシウムを添加していないかを要確認。『植物ミルク=ヘルシーというイメージに捉われないで!』とエイミーさんはアドバイスします。

冷蔵 セクション:マーガリン&バター

朝食にパンを食べる人が多いニュージーランドでは、マーガリンは無くてはならない食材。キャノーラオイル(菜種油)ベースかオリーブオイルベースのマーガリンが主流だそうです。

もちろん、パンにバターをぬる人もいますが、エイミーさんの話しからわかったのは、調理の材料としてバターを使う家庭が多いようです。そういうこともあってか、『最近、ニュージーランド国内でバターの値段が引き上げられたため、家庭には大打撃!』とエイミーさん。

ニュージーランドのバターは、基本的にグラスフェッドバターだそう。

最近では、(日本の)カルディなどでもニュージーランド産バターを見かけるので、気になる人は探してみてはいかがでしょうか。

まだまだ広い、スーパーマーケット「Count Down(カウントダウン)」。次回は別のセクションを巡ります。お楽しみに!

写真撮影:Antony Gray

※当記事はCount Down(カウントダウン)に許可を得て、取材および撮影をしています。

『【特集】ニュージーランドの食に隠された魅力を新発見!』では、グルメなおすすめ土産や、名産でもあるキウイフルーツの秘密を現地ルポ。お見逃しなく!

© 株式会社オンエア