持続可能な水産業、世界のリーダーに初の日本人

持続可能な水産に貢献する人物、組織に贈られる「シーフード・チャンピオン・アワード」(主催:SeaWeb)が11日、発表された。リーダーシップ部門で日本人初のチャンピオンに選ばれたのはシーフードレガシー(東京・中央)の花岡和佳男・代表。日本企業を主体としたイニシアチブを形成し、わが国で持続的な水産の拡大に貢献したことなどが評価された。同社は「世界のサステナブル・シーフードの潮流で日本の立ち位置が認められたと言える」と受賞の意義を話す。(サステナブル・ブランドジャパン編集局=沖本 啓一)

「シーフード・サミット」は持続可能な水産業の実現に向け情報や知識を共有するため、世界中の水産に関わる企業、NGOや行政機関などが一同に集まる国際イベント。15回目を数えた今年は10日から14日までタイのバンコクで開催されている。同サミット内で発表されるアワードは、リーダーシップ、イノベーション、ビジョン、アボドカシー(政策提言)の4部門で構成される。

近年、水産資源の漁獲量減少による危機意識の高まりと同時に、国内での水産業の課題意識は一気に浸透している。各種認証を取得するなど企業・団体の取り組みは大きく進展しつつある。昨年12月に水産庁が70年ぶりに漁業法を改正し、実効性のある海洋資源管理を打ち出すなど、2020年のオリ・パラを目前に民間だけでなく行政の動きも活発化している。

今回の花岡氏の受賞は国内のこのような動きを後押しする活動実績が評価された。同氏が代表を務めるシーフードレガシーは、大手企業の社員食堂へのサステナブル・シーフード導入をサポートしたり、海外のNGOと日本の水産に関するステークホルダーをマッチングするなど、持続可能な水産業に資する活動を事業とする。

受賞した花岡和佳男・シーフードレガシー代表は「日本のステークホルダー全員へ贈られた賞」とし、国内の水産業について「(同社を設立した)2015年からの4年間に状況は大きく変化し、各企業がNGOや専門機関と連携しそれぞれのアプローチで取り組みを強化するようになりました」と進展を強調。「持続する豊かな海と人とのつながりの実現を目指し、これからも一層精進して参ります」と決意を新たにした。

日本の水産業に関する持続可能性への取り組みは大きく出遅れていると言われ、課題は山積する。しかし国際社会の潮流の中で、日本の水産業は確実に潮目を変えている。

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