RIZAP支援でトレーニングの効率向上 J1湘南

 J1湘南がフィットネスクラブ運営のRIZAP(ライザップ)の支援を受けて、グラウンド外のトレーニングを充実させている。

◇監督や選手 効果を実感

 「世紀の大誤審」を乗り越え、劇的な逆転勝ちを飾った5月17日の浦和戦後、FW山崎凌吾(26)のLINE(ライン)にプレー動画とメッセージが届いた。

 「この走り方はすごく良かったね」。送り主は、ライザップから派遣された専属トレーナーの管野翔太さん(31)。日々のトレーニングの効果を実感してもらう試みだ。

 山崎は187センチ、80キロの大型ストライカー。前線でターゲットとなり、味方の縦パスを収めて攻撃の起点になっているが、ボール保持の鍵を握る「動きだしの一歩目、初速のところで課題を感じていた」と明かす。

 管野さんは、スピードがあるのになぜ出足が悪いのか、という点に着目。「ダッシュ系の練習を求めたことはほとんどない」と話すように、片足立ちの理想的な姿勢づくりや足の裏の使い方、腕の振りなどの指導から始めた。

 チューブやウオーターバッグを使ったメニューで体幹も強化。空中戦の強さはリーグ屈指と評されるようになった。山崎は「もっと得点を取りたいので、どんなトレーニングが必要なのか相談していきたい」と次のステップを見据える。

 RIZAPグループが昨春、ベルマーレの経営に参画し、3年間で10億円を投資する方針を表明。平塚市内の練習場そばに専用トレーニング施設「ライザップラボ」が誕生したのは昨年末のことだ。

 約330平方メートルのフロアに最新鋭のマシンが並び、Jクラブ初という低酸素ルームも設けた。昨季までに比べて「機材は2.5倍、広さは10倍」(ライザップ)という変わりようだ。

 1月の始動直後に、全選手の筋肉量や体脂肪率といった体組成データに加え、スピード、跳躍力など20項目近い数値を測定。選手の要望も踏まえて個別メニューを作成し、2人のトレーナーがサポートする。

 5月には全選手の筋肉量が平均で1.3キロアップ。管理栄養士による食事指導と合わせ、シーズン中は体が細くなりがちな課題を克服した。

 攻守にスピーディーな戦い方を追求する分、体力の消耗も激しいとされる湘南のサッカー。早期の疲労回復に一役買うと期待されるのが低酸素ルームだ。

 室内を標高2500~2800メートルと同様の環境に設定し、「あえて酸素の少ない場所に入ることで、疲労を取ったり、エネルギーをつくったりする酸素を体が取り込みやすい状態にする」(管野さん)という。

 収集した選手のフィジカルデータの活用法も将来的なテーマだ。

 「まだ発展途上の分野。湘南の選手のようになるにはどんなトレーニングが必要なのかというモデルケースを、未来のアスリートたちに提供できれば」と管野さん。

 ゆくゆくは育成年代のトレーニングにも生かしたいと考えている。

© 株式会社神奈川新聞社