フランス・パリのノートルダム寺院の火災を受け実施した調査で、長崎県内にある二つの世界遺産に登録された国宝・重要文化財はいずれも、防火設備などが整備されていることが13日、長崎県のまとめで確認された。長崎県世界遺産課は「今後も定期的に検査を続けていく」としている。
文化庁は4月、同寺院の火災を受け全国の自治体に調査するよう通知していた。世界遺産に登録されていない文化財については調査を続けている。
長崎県学芸文化課によると、「明治日本の産業革命遺産」「長崎と天草地方の潜伏キリシタン関連遺産」の構成資産のうち、国宝・重文9件12棟を点検。自動火災報知機と消火器などの消火設備が、全ての文化財で確認されたという。
このうち、重文に指定されている頭ケ島天主堂(新上五島町)では、1月の文化財防火デーに合わせ、住民ぐるみで消火訓練に取り組んでいる。同町の江袋教会は2007年、漏電が原因とみられる火災で焼損(10年の再建後、県指定有形文化財指定)しており、同町文化財課は「万が一のことがあれば初期消火が重要になる」とし、ソフト面の防火対策にも力を入れているという。
ノートルダム寺院を巡っては、官民で構成する県世界遺産保存活用県民会議が、寺院修復に向けた募金を継続中。県庁や大浦天主堂などに募金箱を設置しているほか、口座振り込みも受け付けている。問い合わせは長崎県世界遺産課(電095.894.3171)。