国内最大規模のまちづくり「晴海フラッグ」、都市生活のフラッグシップへ まちづくり特集2019

晴海フラッグの全景イメージ

開幕まで約400日に迫った東京オリンピック・パラリンピックの盛り上がりに合わせて、住宅業界からの注目が集まるのが、オリンピック選手村跡地の再開発プロジェクト「HARUMI FLAG(晴海フラッグ)」だろう。都心の湾岸エリアの約18万平方メートルの広大な土地に、24棟のマンション群からなる1万2千人規模の新しい街を作る計画だ。

大手11社が協力し、道路や街区、植栽、新交通システム、水素インフラなどを整備し「これからの都市生活の象徴となる街」を目指すという。

晴海フラッグ(正式名称は晴海5丁目西地区第一種市街地再開発事業)は、3方向が海に囲まれた東京都中央区晴海の湾岸エリア・約18万平方メートル(うち、道路が約5万平方メートル)の敷地に、2棟のタワーマンション、1棟の商業施設を含む24棟のマンション群を整備する計画だ。

都心の広大な敷地を舞台に、道路や街区、配棟、インフラ、コンセプトまで「ゼロから作り込めた」大規模都市開発プロジェクトは、国内唯一、東京オリピック選手村跡地再開発事業だからこそ実現したといってもいいだろう。

大手11社、オールジャパンの陣容で

開発は、東京都が施行者となって道路などの都市基盤を整備し、大手デベロッパー11社が都に代わって建物を建設する。参画企業は、三井不動産レジデンシャル、三菱地所レジデンス、野村不動産、住友不動産、住友商事、東急不動産、東京建物、NTT都市開発、新日鉄興和不動産、大和ハウス工業、三井不動産――と、オールジャパンの陣容だ。

開発戸数は、分譲住宅が4145戸、高齢者向けやシェアハウスなどの賃貸住宅が1487戸の計5632戸。長く住み続けられるように、1戸あたりの平均専有面積は、都心の分譲マンションよりも20平方メートル以上広い約85平方メートルとした。

間取りは2LDKから4LDKの1009通り。都内では希少な100平方メートルを超える住戸を約310戸用意して、幅広い家族構成やライフスタイルに応えるという。既に販売も始まっており、22年秋(タワー棟は24年3月)の竣工を予定した。

街や景観、インフラにも新提案

「今後の都市生活のフラッグシップ」を目指し、街や景観、住居、インフラに新しい提案を多数盛り込んでいる。

敷地中央には幅50メートルの街路空間を設け、建物同士の間隔を確保するとともに、交流や賑わいを創出する街路・広場とする。自動車と自転車、歩行者の道を植栽帯で分離し、安全な移動に配慮。段差を少なく、勾配をゆるやかにすることで、誰でも移動しやすい道路デザインを取り入れた。

バリアフリーのデザインは、マンション共用廊下の幅を人と車いすがすれ違える1・5メートルを標準とし、車いすの乗降がスムーズに行える17人乗りのエレベーターを用意するなど、街全体で採用している。

開放的な敷地に3900本の樹木

すべての駐車場を地下に設置し、空地率約50%というゆとりある空間を作った。開放的な敷地には、地域植生や生態系に配慮した約100種・3900本の中高木を植え、場所ごとに異なる風景を演出する。目指したのは、周囲の公園とつながり、生き物が行き交う〝経年優化〟する「本物の森」だ。

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