6月15日付

 「おお、いらっしゃい」。自宅へ取材に向かうと、背筋をすっと伸ばして笑顔で出迎えてくれた。「第9回みやにち夢ひろがる小品展」で、努力賞を獲得した101歳の鈴木省三さん。年齢よりずっと若々しい見た目に驚いた。現在、住宅型老人ホームに1人暮らし。部屋は小ぎれいに整頓され、自炊や洗濯もこなすという健在ぶりだ。一方、外出はほとんどせず、贈られた花などを題材に創作活動に励む日々を送る。鈴木さんは作品の数々を誇らしげに手に取り、目を細めていた。大正7年に生まれ、昭和、平成、令和と時代を渡る鈴木さん。想像できないほど、幸せも苦悩も体験したに違いない。「描いていると何もかも忘れられる」。しみじみ語る大先輩の筆致からは、1世紀分の感情がにじみ出ていた。

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