年代別・選挙別に振り返る参院選の投票率|今回の参院選の投票率はいかに?!

令和になって初めての参議院議員通常選挙(以下、参院選)が、7月に行われます。
3年ごとに行われる参院選ですが、投票率はこれまでどのように移り変わってきたのでしょうか。昭和22年(1947年)の第1回から、読み解いていきましょう。

参議院議員通常選挙 投票率の推移

総務省 国政選挙の投票率の推移について「参議院議員通常選挙(地方区・選挙区)における投票率の推移」

昭和55年(1980年)

衆参同日選挙のため投票率向上

≫第12回参議院議員選挙(1980年06月22日投票)

昭和57年(1983年) 比例代表制の導入

政党の得票数に比例して議席を配分する、比例代表制が取り入れられましたが、投票率はふるいませんでした。

≫第13回参議院議員選挙(1983年06月26日投票)

昭和61年(1986年)

衆参同日選挙のため再び投票率向上

≫第14回参議院議員選挙(1986年07月06日投票)

平成2年(1989年)自民党が歴史的な大敗

社会党の土井たか子氏による「マドンナ旋風」が起こり、社会党が45議席を獲得して自民党の獲得した36議席を上回りました。リクルート事件や消費税増税なども自民党への支持率低下へと繋がったようです。

≫第15回参議院議員選挙(1989年07月23日投票)

平成7年(1995年) 戦後の国政選挙における投票率最低を記録

阪神淡路大震災・地下鉄サリン事件のあった年です。

≫第17回参議院議員選挙(1995年07月23日投票)

平成10年(1998年) 投票締め切り延長

失業率悪化や金融機関の破綻のあった年です。投票時間が2時間延長され20時までとなったこの年は、歴代最低にまで落ち込んだ前回から比べると14.32%上がっています。

≫第18回参議院議員選挙(1998年07月12日投票)

平成16年(2004年) 期日前投票制度導入

期日前投票制度が導入され、投票日当日に投票所へ行けない人も、投票できるようになりました。

≫第20回参議院議員選挙(2004年07月11日投票)

平成19年(2007)自民党敗北

民主党が参議院第1党となり、衆議院と参議院で多数派の異なる「衆参ねじれ」が生じました。

≫第21回参議院議員選挙(2007年07月29日投票)

平成22年(2010)民主党の党勢が退潮・自民党が復調

消費増税を掲げたことが支持率の低下につながったとみられます。

≫第22回参議院議員選挙(2010年07月11日投票)

平成25年(2013)ネット選挙解禁

ネット選挙とは、インターネットを使った選挙運動のことです。候補者や政党や有権者は、SNSやホームページや動画サイト等を駆使して、より広い選挙運動をするようになりました。しかし、投票率は低下しています。

≫第22回参議院議員選挙(2010年07月11日投票)

平成28年(2016年) 選挙権年齢18歳に引き下げ

これまで20歳以上に与えられていた選挙権が18歳以上に引き下げられました。

≫第24回参議院議員選挙(2016年07月10日投票)

歴代で最も投票率が高かったのは昭和55年(1980年)の74.54%で、この年は衆参同日選挙でした。昭和61年(1986年)も衆参同日選挙ですが、こちらは71.36%と、歴代4位の投票率となっています。衆参同日選挙は、その名の通り衆議院議員総選挙と参議院議員通常選挙を同日に行うことですが、衆院選と比べて参院選は投票率が低いこともあり、同日選挙になることで投票率が上がったものとみられます。
今回の参院選も、衆議院が解散して衆参同日選挙になる可能性が高いとの見方が広がっていましたが、自民党の甘利選挙対策委員長はその可能性について「99%ない」と述べるなど衆参同日選にはならない見方も広がっており、今後の動きに注目です。

最も投票率の低かった平成7年(1995年)は、44.52%となっています。
戦後の国政選挙のうち唯一50%を下回った選挙で、最も投票率の高かった年と比べると30%以上の開きがあり、国民の過半数が投票を棄権したことになります。
平成7年は、オウム真理教による地下鉄サリン事件、阪神淡路大震災のあった年です。地下鉄サリン事件や震災に対する政府の対応への不満が投票率に現れたのかもしれません。

投票方法、時間帯、選挙権年齢など様々な面で、より柔軟に投票しやすいように選挙は進化を遂げてきています。
しかし平成元年(1989年)を最後に投票率が60%を超えることはなく、投票率は低下の一途をたどっています。

参議院通常議員選挙における年代別投票率の推移

ここしばらく、選挙があるたびに投票率の低さが話題になっていますね。
なかでも、若者の投票率の低さが問題とされていますが、年代別にみるとどうでしょうか。確認してみましょう。

総務省 国政選挙の年代別投票率の推移について

「若者の投票率が低い」というのは、今に始まったことではないようです。
60歳代の投票率は、20歳代の投票率に比べて、常に2倍程度の開きがあります。
少子高齢化により、総人口に対して人口の少ない若者の投票率が低く、人口の多い高齢者の投票率が高いため、より高齢者の意見が反映されやすくなっているといえるのではないでしょうか。労働、子育て、教育といったテーマに、これからの社会を担う若者の意見が通りづらくなっているのが現状です。

前回の平成28年(2016年)に、選挙年齢は18歳以上に引き下げられました。2016年参院選の投票率を、初めて選挙権が与えられた10代を中心に、年代別に比べてみましょう。

2016年参院選年代別投票率

総務省 国政選挙の年代別投票率の推移について

10歳代の投票率は、40歳代以降よりは低い46.7%ですが、20歳代30歳代よりは高くなっています。
「18歳選挙権」と話題になり、なかには投票方法について講義する学校もあったため、その影響も考えられます。
また、19歳よりも18歳のほうが投票率が高くなっていたそうですが、進学で住所を移さないまま一人暮らしを始めた大学生のなかで、実家に投票用紙を取りに戻ってまで投票する有権者が少ないことも一因としてあげられるのではないでしょうか。
転居先で投票することももちろん可能ですが、その方法を広く告知すること、そしてあらゆる状況におかれている人が、より簡単に投票できる環境を整えていくことも課題のひとつかもしれません。

令和初の参院選、投票へ

「めんどうだし、選挙に行ってもどうせ何も変わらない」と思われる人もいるかもしれません。
それでも、普段、ニュースを見ていておかしな言動をする政治家に対する憤りや、賃金や税金、年金制度などに対する不満を感じることはないでしょうか。
たとえ政治に関心がなくても、政治は私たちの生活に否応なく関わってきます。私たちの生活を良くするために私たちができること、それが投票です。

投票率が低くなると、民主主義が機能しなくなってしまいます。

「政治家なんて誰も信じられない」「投票したい人がいない」と言って投票しないことは、その信じられない政治家に、白紙委任してしまうことにつながります。

1票では何も変わらない? そんなことはありません。1票の差で選挙結果が変わったことだってあります。
令和初の参院選、投票に行きませんか。

© 選挙ドットコム株式会社