社説[県小中学生貧困調査]居場所の設置をもっと

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 沖縄県は14日、小中学生と保護者を対象に貧困を多角的に捉えた「2018年度県小中学生調査」を発表した。

 昨年12月の中間報告では、貧困率は25.0%と、前回15年度調査29.9%から一定の改善が見られた。しかし全国平均の13.9%とは依然として大きな開きがある。

 アンケート調査の対象は、小学1、5年生、中学2年生の保護者と、小学5年生、中学2年生の子ども。

 平日の朝ご飯や夕ご飯を親と一緒に食べる子どもの割合は、困窮層は非困窮層と10ポイント近い差があった。宿題をみてもらう頻度も低かった。

 学習理解度は困窮層ほど低く、「家族から大切にされている」と感じる割合も少なかった。親との関わりの少なさが、学習習慣や自己肯定感に影響を及ぼしていることが心配される。

 一方で、無料塾や子ども食堂など「子どもの居場所」の利用率は全体で1割程度にとどまっている。利用していない子どもの半数以上は「知らなかった」のが理由だ。

 子どもの居場所は、利用前後で「学校の勉強がよくわかる」「自分に自信がある」割合が増えたとの県と内閣府のアンケート結果がある。

 子どもの貧困対策支援員と学校が連携していかに制度を周知徹底させるかが課題だ。

 同時に子どもが居場所に行きやすい雰囲気をつくり、機能させることが重要である。

 県内には26市町村に134カ所の居場所があるが、離島を中心に小学校区の約7割が未設置という。居場所の拡充を急がなければならない。

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 困窮層の親を取り巻く労働環境は厳しい。

 高い非正規率、長時間労働、低賃金が沖縄の特徴だ。

 父親が正規職員であるのは非困窮層より27.7ポイント低い。母親は「パート・アルバイト」「働いていない」が非困窮層より16.9ポイント高い一方、正規職員は19.1ポイント低い。

 1週間の労働日数は困窮層は父親、母親とも「6日」の割合が高い。1日当たりの労働時間は短い傾向を示していることから、労働日数を増やして収入を確保していることがうかがえる。

 働き詰めで日々の生活にゆとりがないため子育てに充てる時間が短く、精神的負担も大きくなっているとみられる。地域や友人に自分を支えてくれる人が「いる」割合は、困窮層が非困窮層より6~10ポイント低い。孤立感を深めている姿が浮かび上がる。

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 気になるのは過去1年間に子どもを受診させなかった割合が困窮層で前回よりも増加していることだ。調査に当たった識者は前回「医療機関」と質問し、今回は「病院や歯科医」と具体的に示したからではとみているが、もっと踏み込んだ分析が必要だ。

 自由記述には、保護者から「母子家庭。来年受験を控えている。貯蓄もできず、学習塾へ通うことも困難な状況」…。子どもからは「自信のつけ方を教えてほしい」…。多くの切実な声が上がる。

 県には2度の調査結果を検証し、全ての子どもが未来に希望が持てるよう施策のさらなる充実を求めたい。