直木賞作家 村山由佳さん 長崎商高、瓊浦高で講演 「言葉の持つ力」強調

「別れが教えてくれること」と題し講演する村山さん=長崎商高

 高校生を対象にした文化講演会(一ツ橋文芸教育振興会、長崎新聞社主催、集英社など後援)が14日、長崎市立長崎商業高と瓊浦高であり、直木賞作家の村山由佳さんが「別れが教えてくれること」と題し、思いを伝える大切さや言葉の持つ力について語った。
 このうち、長崎商高では生徒約710人が聴講。村山さんは、塾講師時代に教え子だった女子中学生が自殺したこと、東日本大震災、両親との死別を振り返り、「隣にいる人が明日そこにいるとは限らない。大切なことは間に合ううちに言葉を選んで伝えてほしい。シンプルな言葉も、心と一緒に手渡したら言葉は力を持つ」と語り掛けた。
 また、人生の数だけ物語があり、人の痛みに寄り添うことが大切だとし、「小説は誰かの人生を、本を読んでいる間だけは自分の人生にできる。小説で想像力を養える」と力を込めた。
 生徒会長で3年の酒匂実花さん(18)は「村山さんのように旅に出かけ、自分の価値観を見つめ直し、新たな考えを表現できるようになりたい」と感想を話した。
 両校には同振興会から集英社文庫100冊がそれぞれ贈られた。文化講演会は毎年開き、54回目。

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